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大腸がん:彷徨試験を改変した手法により大腸がんの持続生残細胞の集団動態と変異率の特徴が明らかになる
Nature Genetics 54, 7 doi: 10.1038/s41588-022-01105-z
説得力のある証拠から、標的療法を受けたがんの持続生残細胞は長期的な有効性を制限する主要な要因であることが示されている。しかし、がんの持続生残細胞の表現型や集団動態は分かっていない。本論文では、実験による特性評価と数学的モデル化とを組み合わせることで、持続生残細胞を研究するための定量的手法を開発した。大腸がんでは、持続生残細胞の一部がゆっくり複製することが分かった。臨床使用が承認された標的療法によって、薬剤抵抗性を持つ持続生残細胞への切り替えが誘導され、またそれらの変異率が一過性に7〜50倍上昇することで、持続生残細胞由来の抵抗性細胞の数が増加した。これらの知見は、治療ががん細胞の持続性と変異性に影響を及ぼす可能性を明らかにしていて、また、エラーを起こしやすいDNAポリメラーゼの阻害が腫瘍の再発を制限する戦略であることを示している。