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3Dゲノミクス:CTCFが集まったドメイン境界のin vivo解析から明らかになった調節性インスレーターの形成原理

Nature Genetics 54, 7 doi: 10.1038/s41588-022-01117-9

脊椎動物のゲノムはトポロジカルドメインへと構造化されており、この構造は、標的でない遺伝子と調節配列とを隔離する境界で区分けされている。しかし、境界の機能がどのように確立されるのかはよく分かっていない。今回我々は、ゲノム規模の解析とトランスジェニックマウスでのアッセイを組み合わせて、CTCF(CCCTC-binding factor)が集まった境界の調節原理をin vivoで解析し、複数のレベル(クロマチン相互作用、転写、表現型)でそれらの機能を調べた。個々のCTCF結合部位(CBS)を欠失させて調べた場合、特異的部位の特徴が、CBSの数や向きといった他の要因よりも大きな影響を持ち得ることが分かった。複数の欠失を組み合わせて調べた場合、CBSは冗長性を持って協働し、境界にロバスト性を与えていることが分かった。CBSシグネチャーの区別は、効果的なインスレーションにもっぱら必要というわけではないこと、また、非収束的に配向した部位により形成されたクロマチンループは、ループ干渉機構により仲介され得ることを示す。さらに、インスレーション強度は、遺伝子発現と表現型の量的モジュレーターをなすことが分かった。我々の結果は、境界のモジュール的性質と、発生過程におけるそれらの制御を明らかにしている。

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