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免疫/遺伝子調節ネットワーク:ヒトT細胞において調節遺伝子を系統的に発見し、撹乱によって免疫ネットワーク構造を解明

Nature Genetics 54, 8 doi: 10.1038/s41588-022-01106-y

遺伝子調節ネットワークは、重要な遺伝子が正確なレベルで発現することを保証している。また遺伝子発現が十分に撹乱されると疾患につながることがある。遺伝子発現の乱れがネットワークを介して浸透していく仕組みを解明するためには、まず調節遺伝子とその下流の標的の間の接続をマッピングする必要がある。しかし、ほとんどの遺伝子の上流調節因子に関する包括的知識は不足している。本論文では、初代ヒトT細胞において、重要な免疫因子であるIL2RA、IL-2、CTLA4の上流調節因子を系統的に見つけるための手法を開発した。次に、CRISPRによる撹乱、およびRNA-seq、ATAC-seqを用いて、発見した調節因子の標的遺伝子や推定のシス調節配列ネットワークをマッピングした。これらの調節因子は、広範なフィードバックループを備えていて、密に相互接続されたネットワークを形成している。さらに、このネットワークには、免疫関連疾患のバリアントや遺伝子が豊富に含まれている。これらの結果から、T細胞において免疫関連疾患の遺伝子がどのように調節されているかの手掛かりが得られるとともに、ヒトの遺伝子調節ネットワークの構造に関するより一般的な原理が示される。

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