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エンバク:異質6倍体エンバクの参照ゲノム配列の構築によりその起源と進化が判明

Nature Genetics 54, 8 doi: 10.1038/s41588-022-01127-7

エンバク(Avena sativa)は飼料あるいは食糧として重要な穀物作物である。重要な作物の多くについて参照ゲノム配列が作成されているが、エンバクについては、ゲノムサイズが大きく、繰り返し配列の多い多倍体であることが障壁となり、その参照ゲノム配列の構築は遅れていた。今回我々は、超ロングリードのOxford NanoporeシークエンサーとHi-C技術を用いて、総長10.76 Gb、コンティグN50長75.27 Mbを持つ、21本の仮想染色体より成るハダカエンバクの参照品質のゲノム配列を構築した。またカラスムギ属(Avena)の2倍体および4倍体祖先種のゲノムアセンブリを行うことにより、エンバクのサブゲノムを特定し、エンバク染色体の進化についての知見を得ることができた。6倍体エンバクの起源は、カラスムギ属のさまざまな種の全ゲノム塩基配列決定、葉緑体ゲノムアセンブリ、トランスクリプトームアセンブリから推測される。本論文で報告した知見および高品質の参照ゲノム配列により、作物の遺伝情報資源の十分な活用が可能となり、エンバクの品種改良が加速されるだろう。

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