Article

キビゲノム:パンゲノム解析で明らかになったキビの栽培化形質と関連するゲノム多様性

Nature Genetics 55, 12 doi: 10.1038/s41588-023-01571-z

キビ(Panicum miliaceum L.)は孤児作物の一種であり、穀類の生産と品質を向上させ、食料安全保障に資する可能性を秘めている。本論文では、516系統(アクセッション)に及ぶキビゲノムの世界規模の多様なコレクションについて、その遺伝的変異、集団構造および多様性を報告する。集団構造の解析から、栽培化されたキビは、中国の野生原種に起源を持つことが明らかになった。次に、代表的な32系統に対するロングリードのde novoゲノムアセンブリに基づいて、グラフベースのキビパンゲノムを構築した。その構造変異はコード領域または調節領域に位置し、遺伝子発現に影響を与える転位性遺伝因子と高度に関連していることが明らかになった。また、31の主要な栽培化形質と農業経済学的形質に関連する139の座位が見つかり、そこには円錐花序構造を制御するLG1などの候補遺伝子や優れたハプロタイプが含まれていた。このように本研究の知見は、ゲノミクスを利用したキビの育種プログラムに対する基本的な研究資源を提供するものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度