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高異型度漿液性卵巣がん:末期の相同組換え欠損高異型度漿液性卵巣がんのマルチオミクス解析
Nature Genetics 55, 3 doi: 10.1038/s41588-023-01320-2
高異型度漿液性卵巣がん(HGSC)は、相同組換え(HR)DNA修復欠損を特徴とすることが多く、そのような腫瘍のほとんどは初回治療に感受性であるが、一般的に抵抗性を獲得する。本論文では、HR欠損HGSCの15人の女性から採取した多数の剖検試料を用いて、マルチオミクス手法により、この疾患の末期の分子多様性を調べた。患者の疾患は多クローン性であり、ほとんどの患者で復帰変異や他の手段によるHR回復など、いくつかの抵抗性機構が特定できた。また、全ゲノム重複や、免疫回避の証拠を伴う免疫組成の全体的な変化もよく観察された。この解析は、HGSC内でさまざまな進化的変化が起こることで、治療が回避され、最終的に個々の患者を死に至らしめることを示している。