Article

神経芽細胞腫:神経芽細胞腫は胎児の発生初期に生じ、進化期間から転帰を予測できる

Nature Genetics 55, 4 doi: 10.1038/s41588-023-01332-y

神経芽細胞腫は、乳児で最もよく見られる固形腫瘍で、自然退縮から致死的な疾患まで、非常に多様な転帰を示す。これらのさまざまな腫瘍が、いつ発生し、どのように進化するかは分かっていない。本論文では、全ての神経芽細胞腫サブタイプを含む包括的なコホートで、高深度全ゲノム塩基配列決定、分子時計解析、集団遺伝学的モデルによって、神経芽細胞腫の体細胞進化を定量化する。全臨床スペクトラムにわたる腫瘍が、妊娠第1三半期という早い時期に異常な体細胞分裂を介して発生し始めることが分かった。予後が良好な神経芽細胞腫は短期の進化の後にクローン拡大するが、アグレッシブな神経芽細胞腫はテロメア維持機構を獲得する過程で長期の進化を示す。最初の異数体化事象は、その後の進化を条件付け、アグレッシブな神経芽細胞腫では早期にゲノム不安定性が示された。発見コホート(n = 100)において、進化の期間は転帰の正確な予測因子であることが見いだされ、これは独立したコホート(n = 86)で検証された。従って、神経芽細胞腫の進化についての知見は、治療方針の決定を病気の進行に先立って導いてくれる可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度