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胃がん:胃がんの祖先系集団横断的ゲノム・トランスクリプトーム解析
Nature Genetics 55, 4 doi: 10.1038/s41588-023-01333-x
胃がんは世界的に最もよく見られる悪性腫瘍の1つであり、地理的、疫学的、組織学的な多様性を特徴としている。本研究では、複数の祖先系集団からなる1335例の胃がん症例を対象に詳細な解析を行い、胃がんのドライバー変異に関する全体像を明らかにした。ARHGAP5やTRIM49Cなど、77個の有意に変異している遺伝子(SMG)を同定した。また、びまん型胃がんに特異的なドライバー遺伝子であるPIGRやSOX9など、サブタイプ特異的なドライバー変異も明らかになった。SMGは、エプスタイン・バーウイルスへの感染の有無や祖先系集団によっても異なっていた。CDH1のタンパク質非短縮型変異の多くは、インフレームのスプライシング変化が特徴で、細胞外ドメインをコードする領域に見られ、散発性びまん型胃がんの症例に特異的に認められた。東アジア系の胃がん患者では、アルコールの摂取または代謝とRHOA変異発生との関係が示唆された。さらに、免疫回避に関与している可能性のある変異が同定された。これらのデータはさまざまなサブタイプと祖先系集団における胃がんの分子的全体像に関する包括的な洞察を提供するものである。