Technical Report

3Dゲノミクス:Region Capture Micro-Cによって明らかになった、エンハンサーとプロモーターが合わさった入れ子状の微小区画

Nature Genetics 55, 6 doi: 10.1038/s41588-023-01391-1

エンハンサーは哺乳類の遺伝子発現の中心的な調節因子であるが、エンハンサーとプロモーターの間(E-P)の相互作用の基礎となる機構については、まだ明らかにされていない。3C(chromosome conformation capture)法は、大規模な三次元(3D)ゲノム構造を効率よく捕捉するが、詳細なE-P相互作用を解き明かすために必要な解像度は達成できていない。今回我々は、ミクロコッカスヌクレアーゼ(MNase)に基づく3C法とタイリング領域捕捉法を組み合わせて、RCMC(Region Capture Micro-C)法を開発し、小規模な塩基配列決定だけで作成可能な最高深度の3Dゲノムマップを生成した。マウスの胚性幹細胞でRCMCを用いて、ゲノム全域に相当する最大で約3170億のユニークな接触をマッピングすることで、RCMCは、これまで確認されていなかった高度に入れ子になった局所的な3D相互作用のパターンを明らかにし、我々はこれらを微小区画(microcompartment)と名付けた。微小区画はエンハンサーとプロモーターを接続していることが多く、ループ押し出しの喪失と転写の抑制によって破壊される微小区画もあるが、大部分の微小区画はそれらの影響をあまり受けない。従って、多くのE-P相互作用は区画化機構を介して形成されると考えられ、これによりコヒーシンの急激な枯渇が、広範な遺伝子発現にわずかな影響しか及ぼさない理由を部分的に説明することができる。

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