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糖尿病:遺伝学的解析と一細胞マルチオミクス解析を統合して疾患の状態別に測定を行うことにより、2型糖尿病におけるベータ細胞機能不全の機構が明らかになる

Nature Genetics 55, 6 doi: 10.1038/s41588-023-01397-9

膵島ベータ細胞の機能不全は2型糖尿病(T2D)の特徴であるが、遺伝子調節異常など、根底にある機構の包括的な理解は不足している。本論文では、ベータ細胞のクロマチン接近性、遺伝子発現、機能に関する一細胞レベルの解析結果から得られた情報を、遺伝的関連データと統合し、T2Dにおける疾患原因遺伝子の調節変化を選び出した。糖尿病でない人、前糖尿病の人、T2D患者の合計34人から得たクロマチン接近性データに機械学習を用いることで、T2D進行の際に細胞の存在量がシフトする、転写的にも機能的にも異なる2種類のベータ細胞サブタイプが明らかになった。細胞サブタイプを定義する接近可能なクロマチンにはT2Dのリスクバリアントが豊富に存在していることから、サブタイプのアイデンティティーがT2Dの原因に関与することが示唆される。どちらのベータ細胞サブタイプも、T2Dにおいてストレス応答の転写プログラム活性化と機能障害を示し、これはおそらくT2D関連の代謝環境によって誘導されると考えられた。我々の知見は、複雑疾患の機構を明らかにするために、マルチモーダルな一細胞解析の測定結果と機械学習を組み合わせる方法の有効性を実証している。

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