アルドステロン産生腺腫:アルドステロン産生腺腫におけるCADM1の体細胞変異と、アルドステロン産生のギャップ結合依存的調節
Nature Genetics 55, 6 doi: 10.1038/s41588-023-01403-0
アルドステロン産生腺腫(APA)は、治療可能な高血圧の原因として最も一般的である。APAではほとんどの場合、イオンチャネルや輸送体の機能獲得型の体細胞変異が見られる。今回我々は、ニューロンの細胞接着遺伝子であるCADM1の変異の発見と再現研究、およびその表現型について報告する。40例と81例のAPA症例に対して独立に行われた全エキソーム塩基配列決定の結果、高血圧と周期性原発性アルドステロン症が副腎摘出により治癒した2人の患者において、CADM1の膜貫通ドメイン内にp.Val380Aspまたはp.Gly379Aspのバリアントを見つけた。再現研究では、両方のバリアントを持つAPA症例がさらに2例見つかった(合計でn = 6)。この変異を導入したヒト副腎皮質細胞株のH295Rで発現が最も上昇した遺伝子(野生型と比較して10〜25倍)は、CYP11B2(アルドステロンシンターゼ)であり、最も差次的に発現する過程は生物学的リズムであった。CADM1のノックダウンや変異は、ギャップ結合(GJ)透過性色素の移動を妨げた。Gap27によるギャップ結合の阻害は、CADM1変異と同様にCYP11B2を増加させた。ヒト副腎の球状層(ZG)におけるGJA1(ギャップ結合の主要タンパク質)の発現はまばらであり、環状ギャップ結合(ギャップ結合コミュニケーションの障害)は、隣接する球状層に比べて、CYP11B2陽性微小結節ではあまり顕著でなかった。以上の結果は、CADM1の体細胞変異は可逆的な高血圧の原因となり、ギャップ結合コミュニケーションには生理的なアルドステロン産生を抑制する役割があることを明らかにしている。