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糖尿病:ゲノムワイド関連解析と機能的特性解析によってインスリン刺激によるグルコース取り込みの機能を持つ候補遺伝子を特定
Nature Genetics 55, 6 doi: 10.1038/s41588-023-01408-9
絶食時および食後のインスリン作用を調整するのは、組織によって異なる特異的な機構である。これまでの遺伝学的研究で主に扱われていたのは絶食時のインスリン抵抗性であり、絶食時には肝臓でのインスリン作用が優勢である。本論文では、3つの祖先系グループの5万5000人を超える参加者において、ブドウ糖負荷後2時間の時点で測定されたインスリンレベルに影響を及ぼす遺伝的バリアントについて研究した。その結果、ブドウ糖負荷後のインスリン抵抗性と関連する、これまでに報告されていない新規の10座位を見つけた(P < 5 × 10−8)。また、このうちの8座位は2型糖尿病と遺伝的構造を共有することが共局在解析により明らかになった。培養細胞において一部の関連座位の候補遺伝子を調べると、筋肉や脂肪における食後のグルコース取り込みに重要なグルコース輸送体GLUT4の発現あるいは輸送に関与する9つの新たな候補遺伝子が見つかった。食後のインスリン抵抗性に焦点を合わせることで、絶食時の血糖形質の研究では十分に捉えられない2型糖尿病座位の作用機構が明らかになった。