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骨粗鬆症:エキソーム塩基配列決定とありふれたバリアントの研究結果を統合することにより骨粗鬆症の治療標的遺伝子を特定する
Nature Genetics 55, 8 doi: 10.1038/s41588-023-01444-5
本研究では、骨粗鬆症の治療標的を特定する目的で、希少なコードバリアントとありふれたバリアントの情報を統合して解析を行った。推定骨密度に関する大規模な多祖先系集団エキソームワイド関連解析を実施し、19の遺伝子の希少なコード領域バリアントの量が推定骨密度と関連していることが分かった(P < 3.6 × 10−7)。これらの遺伝子は、骨粗鬆症の既知の原因遺伝子のセットに高度に濃縮されていた(65倍、P = 2.5 × 10−5)。エキソーム規模で有意な遺伝子は、各GWAS座位で最高位にランクされたエフェクター遺伝子である確率が96倍高かった(P = 1.8 × 10−10)。プロテオームのメンデルランダム化解析の結果を統合して検討し、ヘテロ接合性の機能喪失が高骨密度と関連している遺伝子の優先順位付けを行った結果、CD109(cluster of differentiation 109)を重点的に調べることとした。骨芽細胞様細胞株SaOS-2におけるCD109のCRISPR–Cas9編集により、CD109の部分的なノックダウンが石灰化を増加させることが分かった。本研究は、ありふれたバリアントと希少バリアント、プロテオミクスとCRISPRに関して得られている情報を統合して解析すると、治療法開発の指針となる新たな骨生物学を浮き彫りにできることを示している。