Article

頭皮:ヒト頭皮の一細胞レベルでのクロマチン解析とトランスクリプトーム解析の統合により、毛髪や皮膚の疾患の遺伝子調節プログラムおよび重要な細胞タイプが特定される

Nature Genetics 55, 8 doi: 10.1038/s41588-023-01445-4

ゲノムワイド関連解析によって毛髪や皮膚の疾患に関連する多くの座位が特定されているが、その中から原因バリアントを見つけるには、関連する細胞タイプでの遺伝子調節ネットワークの解明が必要である。本論文では、健康な対照者と円形脱毛症患者の頭皮組織についての、一細胞クロマチンプロファイルと一細胞トランスクリプトームの対応するデータを作成し、毛包ニッチのさまざまな細胞タイプを特定した。これらのデータセットを複数の細胞分解能レベルで調べることによって、エンハンサーと遺伝子の相関をこれまでの手法よりも50~100%多く推測できること、また、高度に調節される遺伝子へのエンハンサーの総合的な接近可能性によって発現が予測できることが示された。これらの遺伝子調節マップを作製し、男性型脱毛症(AGA)、湿疹、その他の複雑形質の病理生物学的性質に関与する細胞タイプ、遺伝子、原因バリアントの優先順位付けを行った。AGAのゲノムワイド関連解析によるシグナルは、毛乳頭細胞での調節領域に豊富に存在していて、これらの細胞がAGA発症のドライバーとしての役割を担うことを裏付けている。また、機械学習モデルを訓練して、転写因子の結合を阻止することで遺伝子発現に影響を及ぼす一塩基多型を選び出し、AGAと湿疹の機能的な一塩基多型の候補を予測した。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度