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無細胞DNA:がんの非侵襲的な検出のための無細胞DNAを用いた一分子ゲノムワイド変異プロファイル
Nature Genetics 55, 8 doi: 10.1038/s41588-023-01446-3
体細胞変異は腫瘍形成の特徴的な事象であり、がんの非侵襲的な診断に役立つ可能性がある。本論文では、がん種横断的全ゲノム解析(PCAWG:Pan-Cancer Analysis of Whole Genomes)研究の2511人に加え、4つの前向きコホートの489人の全ゲノム塩基配列決定データを解析することで、がん患者の組織および無細胞DNAにおいて、ゲノム領域によって変異タイプ特異的に変異の頻度が異なることを見いだし、これが複製のタイミングや他のクロマチンの特徴に関連することを報告する。ゲノムワイドな変異プロファイルと他の特徴を組み合わせて用いた機械学習モデルと、それに続くCT画像検査により、肺がん患者(ステージIおよびIIを含む)の90%以上を検出することができた。この固定モデルは独立したコホートで検証され、標準的な手法よりも早期にがん患者を検出した。また、治療への反応のモニタリングにも使用できた。この手法は、ゲノムワイドな変異の特徴を用いて、非侵襲的にがんを検出する基礎となり、がんのスクリーニングやモニタリングを容易にすると考えられる。