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肥満:BSNのタンパク質短縮型バリアントは重度の成人発症型肥満、2型糖尿病、脂肪肝疾患と関連する
Nature Genetics 56, 4 doi: 10.1038/s41588-024-01694-x
肥満は、ありふれた疾患の多くに対する主要なリスク因子であり、遺伝的に継承される要因は非常に多い。今回我々は、新たな遺伝的決定因子を特定するために、最大58万7027人を対象に成人ボディーマス指数(BMI)に関するエキソーム塩基配列決定解析を行った。その結果、まれな機能喪失型バリアントが2つの遺伝子(BSNおよびAPBA1)で見つかり、これらはMC4Rといったよく知られる肥満遺伝子よりもはるかに大きな影響を及ぼすことが分かった。他のほとんどの肥満関連遺伝子とは対照的に、BSNとAPBA1のまれなバリアントは、小児期の肥満に見られる通常のバリアントには関連していなかった。また、BSNのタンパク質短縮型バリアント(PTV)は、BMIに関連するありふれた遺伝的バリアントの影響を増大させ、BSN PTV保有者は非保有者と比べて、ありふれたバリアントの多遺伝子スコアで2倍大きな効果を示した。さらに我々は、BSN PTV保有者の血漿プロテオミクスシグネチャーと、ヒト誘導多能性幹細胞由来の視床下部ニューロンにおけるBSN欠失の機能的結果の探索を行った。以上から、我々の知見は、成人発症型肥満の病因にはシナプス機能の変性過程が関与していることを示唆している。