フォトニック量子計測におけるショット雑音限界の無条件の突破

干渉位相計測は、長さ、速度、物質特性などの量の精密測定に広く使われている。量子相関なしにn個の光子を使って達成できる最良の位相感度Δφは、ショット雑音限界Δφ ＝ 1/√nである。量子的に高められた計測には、これを上回る感度が得られる見込みがあるが、数十年にわたる理論的提案にもかかわらず、フォトニック（つまり光子数が確定した）量子状態を使った測定によって、ショット雑音限界を真に超えることはこれまでなかった。そうした実証はすべて、光子損失や検出器の非効率性などの不完全さを見越して、使われた光子の一部のみを考慮していた。今回我々は、極めて効率の高い光子源と検出器を使って、無条件の量子もつれ増強フォトニック干渉測定を行っている。我々は、複屈折位相シフトをサンプリングして、得られた結果の損失や不完全さを人為的に補正せずに、ショット雑音限界を超える精度を実証している。今回の結果から、低い光子フラックスでの量子的に高められた位相計測が可能になり、次世代の光量子計測の進展への扉が開かれる。