In This Issue 精密な光線力学療法 2008年7月1日 Nature Photonics 2, 7 doi: 10.1038/JnphotonInThisIssue67803 光で活性化された薬剤を使用して細胞を殺す光線力学療法(PDT)は、癌などの病気を治療する有名な光学的手法である。しかし、研究者らが望んでいるのは、その手法が精密化されること、ならびに生体組織のより深部への到達を可能にすることである。二光子励起(TPE)によって活性化される光増感剤の使用が解決策になるかもしれない。可視光ではなく赤外光の使用が可能になり、組織での吸収や散乱が少なくなるからである。そのうえ、励起はレーザービームの焦点に閉じ込められる。残念なことに、これまで、薬剤の二光子吸収断面積が非常に小さかったので、TPE-PDTの開発がうまく進まなかった。今月号では、H Andersonらが、はるかに強い光吸収特性(従来の臨床用光増感剤より2桁大きい)をもつ新種の二光子光増感剤群について説明し、TPE-PDTによるin vivoでのマウスの単一血管の選択的閉塞について報告している。今回の実験で、TPE-PDTが哺乳類で初めて実証されたことになる。 Full text PDF 目次へ戻る