実験的なボソンサンプリング

汎用量子コンピューターが実現すれば、古典的なコンピューターを劇的に上回る速度で計算できるようになるが、その完全な形での実現はまだ難しい。しかし、中間的な量子計算モデルが提案されていて、それらは汎用ではないものの、古典的には難しいと考えられている問題を解くことができる。AaronsonとArkhipovは、ランダム光ネットワーク内の単一光子の干渉によって、ボソン出力分布のサンプリングという難しい問題を解きうることを示した。この計算は、測定に基づく相互作用や適応フィードフォワードを必要としないところが際立っている。今回我々は、ユニタリー行列変換を行うよう設計され、レーザー描画により作製された集積量子ネットワークを使って、この計算モデルを実証する。我々は、集積素子の特性を、in situの再構成法で調べ、ボソンサンプリング出力分布をもたらす3光子干渉を観測した。我々の結果は、数個の光子と線形光学素子のみを使って、従来のコンピューターをしのぐ潜在力を持つ、ある種の量子コンピューターの基準になるものだ。