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フォトニックボソンサンプリングの実験的検証
Nature Photonics 8, 8 doi: 10.1038/nphoton.2014.135
ボソンサンプリングデバイスは、古典的コンピューターでは計算が難しいと強く信じられている問題を解く特殊な量子コンピューターである。最近、小規模な実施例が複数報告されたが、全て多モード干渉計における多光子干渉に基づくものであった。いくつかの量子シミュレーションや計算タスクと同様に、シミュレーションが困難な領域における未解決の問題は、ボソンサンプリングの結果の正確さをどの程度証明できるかである。今回我々は、より大きなフォトニックチップ上での新しいボソンサンプリング実験について報告し、最近提案されたスケーラブルな統計的検定を用いてそのデータを解析している。また、この統計的検定によって、均一に分布しているという仮説に対する小規模な実験データサンプルの検証に成功したことを示す。さらに我々は、区別できない光子に由来するデータと区別できる光子に由来するデータを識別する方法を示す。今回の結果は、ボソンサンプリング実験の機能が非自明でシミュレーションできないにもかかわらず、対立仮説に対して機能を証明できる、より大規模なボソンサンプリング実験に向けて道を開くものである。