固いナノワイヤーの堅固なネットワーク構造を用いて幅広い大きさを持つDNA分子を超高速で解析する
Ultrafast and Wide Range Analysis of DNA Molecules Using Rigid Network Structure of Solid Nanowires
2014年6月11日 Scientific Reports 4 : 5252 doi: 10.1038/srep05252
ゲルを用いた電気泳動によるDNAの大きさの解析は、近年の生物学およびバイオテクノロジーの急速な進歩に重要な役割を果たしてきた。さまざまな大きさを持つDNAを短時間で解析する手法が望まれるが、この要求を完全に満たすことができる電気泳動法はこれまでに存在しなかった。本論文で紹介する新しい方法は、マイクロチャネル内の固いナノワイヤーからなる堅固な3Dネットワーク構造体を利用するものである。この堅固なネットワーク構造体は、直流電場を印加することにより、さまざまな大きさのDNA(100 bp~166 kbp)を13秒以内に解析することが可能である。これは、既存のいかなる方法と比較しても、はるかに幅広い大きさを持つDNAを高速解析した結果である。その堅固なネットワーク構造体の密度は、マイクロチャネル内の狙った空間的位置のみでナノワイヤーの成長サイクル数を調整することにより、対象DNAの大きさの範囲に合わせて簡単に変化させることができる。この空間的密度が制御されている堅固な3Dネットワーク構造体のネットワーク密度は、解析することが可能なDNAの大きさの決定で重要な役割を担う。今回の方法は、マイクロチャネル内のナノ構造体の空間的位置および密度を規定することを可能とするため、DNAのみならず他の生体分子にも適した解析法を開発することが可能である。
Sakon Rahong1*, 安井 隆雄2,3,4, 柳田 剛1, 長島 一樹1, 金井 真樹1, Annop Klamchuen1, Gang Meng1, Yong He1, Fuwei Zhuge1, 加地 範匡2,3,4, 川合 知二1 & 馬場 嘉信2,3,4,5
- 大阪大学 産業科学研究所
- 名古屋大学大学院 工学研究科 化学・生物工学専攻
- 名古屋大学 革新ナノバイオデバイス研究センター
- 名古屋大学 未来社会創造機構
- 産業技術総合研究所 健康工学研究部門
*現所属先:名古屋大学 未来社会創造機構