高エネルギー密度リチウムイオン電池向けリチウム含有負極材料としてのLi高含有Li-Si合金
Li-Rich Li-Si Alloy As A Lithium-Containing Negative Electrode Material Towards High Energy Lithium-Ion Batteries
2015年1月28日 Scientific Reports 5 : 8085 doi: 10.1038/srep08085
リチウムイオン電池(LIB)は、一般的に、LiCoO2などのリチウム含有正極材料と、グラファイトなどのリチウムを含有しない(リチウムフリー)負極材料で構成される。硫黄などのリチウムフリー正極材料は、容量が非常に大きく、LIBのエネルギー密度を大幅に向上できることから、最近大いに注目を集めている。リチウムフリー正極材料はリチウム含有負極材料と組み合わせる必要があるが、リチウム含有負極材料の開発はまだ十分進んでいない。そこで本研究では、リチウム含有負極材料としてLiを高含有するLi-Si合金の可能性について検討した。Li高含有Li-Si合金は、金属LiとSiの溶融-凝固プロセスによって調製し、Li21Si5という組成を持つ。リチウム挿入/脱離サイクルを繰り返すことによって、Li-Si粒子は多孔質構造に変化するが、その粒子サイズは元のまま変化しない。Li-Siは、リチウム挿入/脱離時に大きな収縮/膨張が起こらないので、Siよりもサイクル性がはるかに良好である。さらに、リチウムフリー正極を用いたフルセルを作製し、Li-Si合金の実現可能性についても検討した。Li-Siは非常に活性が高いためバインダーポリマーと混ぜ合わせることができない。しかし、物理的混合によってLi-Siをカーボンブラックで被覆すると、Li-Siとバインダーポリマーとの界面で生じる劣化反応を防ぐことができ、より実用的な電気化学セルを作製できることがわかった。
Shinichiroh Iwamura, Hirotomo Nishihara, Yoshitaka Ono, Haruhiko Morito, Hisanori Yamane, Hiroki Nara, Tetsuya Osaka & Takashi Kyotani