飢餓はアルツハイマー病マウスモデルのニューロンにおいてマクロオートファジーを活性化するが、アミロイドベータの分解には不十分である
Fasting activates macroautophagy in neurons of Alzheimer’s disease mouse model but is insufficient to degrade amyloid-beta
2015年7月14日 Scientific Reports 5 : 12115 doi: 10.1038/srep12115
我々は、in vivoで脳内のマクロオートファジーを観察する新たな技術を開発し、飢餓がニューロンにおけるマクロオートファジーを誘導するのかどうか、そしてその誘導がアルツハイマー病(AD)モデルマウスと対照群のマウスでどのように異なるのかを調べた。EGFP-LC3を発現するレンチウイルスを脳内に注入し、二光子顕微鏡により観察することで、生きたニューロンにおけるオートファゴソームを可視化することに成功した。微速度撮影画像化解析から、飢餓によって、ニューロンにおけるオートファゴソームの数、サイズ、シグナル強度が増加することが明らかになった。これらのオートファゴソームのパラメーターは、ADモデルマウスでは飢餓前の基準レベルですでに対照群より高く、飢餓開始後はADモデルマウスでは対照群のマウスよりも速やかに増加した。しかし、標識した外因性Aβの代謝を我々の新しい技術を用いて評価したところ、このように活性化されたマクロオートファジーでも、飢餓後に細胞外空間からの取り込みにより細胞内で増加したAβを分解するには、不十分であることが示唆された。通常の免疫組織化学でも、飢餓は内在性Aβの細胞内での蓄積を増加させ、細胞の機能異常を引き起こすが、細胞外のAβ蓄積をほとんど減らさないことがわかった。さらに、我々は予期せぬことに、マクロオートファジーの基礎レベルに概日リズムがあることを発見した。以上の結果は、正常とAD状態のニューロンにおけるオートファジーに関して新たな解釈を示し、また、オートファジーの機能をin vivoで評価する上で、我々の手法が有用であることを明らかにするものである。
Xigui Chen, Kanoh Kondo, Kazumi Motoki, Hidenori Homma & Hitoshi Okazawa