タップダンスをする鳥:社会的一夫一妻制鳴禽類の複数感覚モダリティーにまたがる雌雄双方向的な求愛ディスプレイ
Tap dancing birds: the multimodal mutual courtship display of males and females in a socially monogamous songbird
2015年11月19日 Scientific Reports 5 : 16614 doi: 10.1038/srep16614
古典的な性選択理論によれば、複数感覚モダリティーにまたがる複雑な求愛ディスプレイは、雌による選択を受けながら雄において進化してきた。社会的一夫一妻制の鳴禽類の雄は雌を引き付けるために、さえずりを行う(歌をうたう)ことがよく知られているが、今回我々は、鳴禽類で雄だけでなく雌にも見られる、複数の感覚モダリティーにまたがるディスプレイを発見した。社会的一夫一妻制鳴禽類のルリガシラセイキチョウ(Uraeginthus cyanocephalus)では、雌雄どちらも、さえずりと視覚的ディスプレイ(ダンス)を特徴とする求愛ディスプレイを行う。これらのディスプレイを高速度カメラで撮影して調べたところ、ダンスには、ジャンプに加えて、非常に高速のステップ行動が含まれていることが分かった。このステップ行動によって、振動や非発声音を発生させていると思われる。ダンスのパフォーマンスに雌雄差はなかったが、個体差が見られた。雄と雌どちらのルリガシラセイキチョウも、同じ止まり木に求愛相手がいる場合にジャンプのテンポが速くなりジャンプ時のステップ数も増えた。観察された複数感覚モダリティー(聴覚、視覚、触覚)と複数の構成要素(発声音と非発声音)から成る求愛ディスプレイは、いくつかの行動(歌う、ジャンプする、ステップを踏む)が組み合わせられていた。社会的一夫一妻制鳴禽類の雌雄が共にこうした複雑な求愛ディスプレイを行うという事実は、新規の知見であり、複数感覚モダリティーにまたがる求愛ディスプレイの雌雄間コミュニケーションとしての進化を示唆している。
Nao Ota, Manfred Gahr & Masayo Soma