Nature Biomedical Engineering に掲載された一次研究論文(ArticlesおよびLetters)について、その概要を日本語で紹介しています。
An explainable deep-learning algorithm for the detection of acute intracranial haemorrhage from small datasets
doi: 10.1038/s41551-018-0324-9
頭部コンピューター断層撮影スキャンの小規模データセットでトレーニングされた説明可能なディープラーニングアルゴリズムが、放射線専門医に匹敵する能力で急性頭蓋内出血を発見して病理サブタイプを分類する。
Low-cost thermophoretic profiling of extracellular-vesicle surface proteins for the early detection and classification of cancers
doi: 10.1038/s41551-018-0343-6
複数の蛍光アプタマーで標識された血清細胞外小胞の表面タンパク質を熱泳動によってプロファイリングするアッセイが、がんの種類およびステージによって患者を検出して分類する。
Large-area MRI-compatible epidermal electronic interfaces for prosthetic control and cognitive monitoring
doi: 10.1038/s41551-019-0347-x
電気生理学的記録のための身体規模の表皮電子インターフェースが、上腕義手の制御、長期の脳波検査、および脳波と構造的・機能的MRIとの同時検査を可能にする。
A designer molecular chaperone against transmissible spongiform encephalopathy slows disease progression in mice and macaques
doi: 10.1038/s41551-019-0349-8
コンピューターで設計した分子シャペロンが、正常なプリオンと伝達性海綿状脳症関連の異常なアイソフォームとの相互作用を阻害し、感染マウスの生存期間を延長させて感染マカクの症状を抑制する。
Rapidly separable microneedle patch for the sustained release of a contraceptive
doi: 10.1038/s41551-018-0337-4
迅速に分離可能な生分解性のポリマー製ニードルを並べたマイクロニードル皮膚パッチが、ラットで1カ月以上にわたって避妊薬レボノルゲストレルを持続的に放出する。
Solid stress in brain tumours causes neuronal loss and neurological dysfunction and can be reversed by lithium
doi: 10.1038/s41551-018-0334-7
患者の脳およびヒト脳腫瘍のマウスモデルの磁気共鳴画像によると、脳腫瘍によって生じる応力(solid stress)は患者に神経機能障害を引き起こす場合があるが、それはリチウムの投与によって改善される可能性がある。
Manufacturing of primed mesenchymal stromal cells for therapy
doi: 10.1038/s41551-018-0325-8
このReview論文では、間葉系間質細胞の表現型に影響を与える要因、および間葉系間質細胞の臨床使用に品質保証を与える標準化されたアッセイの必要性を考察している。
Genome-edited skin epidermal stem cells protect mice from cocaine-seeking behaviour and cocaine overdose
doi: 10.1038/s41551-018-0293-z
コカインを加水分解する酵素を発現するように遺伝子の改変を行った皮膚細胞をマウスへ移植すると、循環血中でその酵素のレベルが長期的に持続し、マウスはコカイン探索行動およびコカイン過剰投与から保護された。
Interleukin-31-mediated photoablation of pruritogenic epidermal neurons reduces itch-associated behaviours in mice
doi: 10.1038/s41551-018-0328-5
光増感剤で標識したインターロイキン31リガンド誘導体が、対応するインターロイキン受容体を発現するかゆみ感知皮膚ニューロンのフォトアブレーションを仲介し、アトピー性皮膚炎マウスの引っ掻き行動を改善した。
Spatial control of in vivo CRISPR–Cas9 genome editing via nanomagnets
doi: 10.1038/s41551-018-0318-7
CRISPR–Cas9装置を組み込んだ遺伝子組換えバキュロウイルスベクターを磁性ナノ粒子と結合させると、CRISPR–Cas9による編集は印加磁場によってin vivoで局所的に活性化させることができる。
Mechanical activation of noncoding-RNA-mediated regulation of disease-associated phenotypes in human cardiomyocytes
doi: 10.1038/s41551-018-0344-5
硬さの制御が可能なハイドロゲルによってモデル化された心臓線維化に関連する機械的ストレスが、長鎖非コードRNA ANRILの一部によるヒト心筋細胞の表現型の調節に影響を及ぼす。
Combinatorial interactions of genetic variants in human cardiomyopathy
doi: 10.1038/s41551-019-0348-9
ゲノム編集を行ったヒト多能性幹細胞およびマウスモデルから、複合的な遺伝子相互作用がヒト心筋症の複雑な遺伝性に寄与することが明らかになった。
A wireless and artefact-free 128-channel neuromodulation device for closed-loop stimulation and recording in non-human primates
doi: 10.1038/s41551-018-0323-x
閉ループの128チャンネル無線神経調節機器により、無拘束の非ヒト霊長類の脳で、電気刺激とともに、アーティファクトのない局所電場電位の長期記録が行われる。
Tissue-adhesive wirelessly powered optoelectronic device for metronomic photodynamic cancer therapy
doi: 10.1038/s41551-018-0261-7
組織に接着する埋め込み型の無線給電式発光デバイスが、低強度光を長時間照射する光線力学療法によって、皮内に腫瘍を移植されたマウスに有意な抗腫瘍効果を発揮した。
Bioresorbable pressure sensors protected with thermally grown silicon dioxide for the monitoring of chronic diseases and healing processes
doi: 10.1038/s41551-018-0300-4
動作寿命が大幅に向上した生体吸収性の圧力センサーに関して、25日間以上にわたってラット頭蓋内圧のモニタリングを行うことにより、非吸収性の類似臨床機器と同等の正確さが得られることが示された。
Biodegradable and flexible arterial-pulse sensor for the wireless monitoring of blood flow
doi: 10.1038/s41551-018-0336-5
フリンジ電界コンデンサー技術に基づく電池不要の埋植型圧力センサーが、完全に生分解性材料で作られた。これは、生きているラットの動脈血流を無線測定することができる。
Soft and elastic hydrogel-based microelectronics for localized low-voltage neuromodulation
doi: 10.1038/s41551-018-0335-6
弾力性のある導電性ハイドロゲルで作られ、電流注入密度が高く組織との界面インピーダンスが低いマイクロ電極アレイが、生きているマウスの坐骨神経の局所的な低電圧電気刺激を可能にする。
Wireless resonant circuits for the minimally invasive sensing of biophysical processes in magnetic resonance imaging
doi: 10.1038/s41551-018-0309-8
電気または光の刺激に応じて特性を変化させて磁気共鳴画像法による検出が可能な埋植型の誘導結合共振回路が、齧歯類脳内の生物発光のリモートセンシングを可能にする。
Reduction of measurement noise in a continuous glucose monitor by coating the sensor with a zwitterionic polymer
doi: 10.1038/s41551-018-0273-3
持続グルコースモニターのセンサーを双性イオン性ポリマーでコーティングすると、信号ノイズが大幅に低減し、装置を頻繁に再較正する必要性も大きく低下した。
Focal stimulation of the sheep motor cortex with a chronically implanted minimally invasive electrode array mounted on an endovascular stent
doi: 10.1038/s41551-018-0321-z
最小侵襲性の血管内ステントに取り付けた電極アレイを介して血管内から皮質組織を局所刺激すると、ヒツジの特定の顔面筋および肢に反応が生じた。
Implantable pre-metastatic niches for the study of the microenvironmental regulation of disseminated human tumour cells
doi: 10.1038/s41551-018-0307-x
ヒト間質細胞が組み込まれたハイドロゲルは、マウスに埋植すると同所性のヒト腫瘍異種移植片に由来する細胞を取り込み、ヒト免疫細胞の注射によって前転移ニッチの進化の研究を可能とする。
A tissue-engineered scale model of the heart ventricle
doi: 10.1038/s41551-018-0271-5
ナノ繊維の足場とラットの初代心筋細胞またはヒト幹細胞由来の心筋細胞とから組織工学的に作製したヒト左心室のスケールモデルが、収縮機能の研究および構造性不整脈のモデル化を可能にする。
Incorporation of macrophages into engineered skeletal muscle enables enhanced muscle regeneration
doi: 10.1038/s41551-018-0290-2
ラット成体の筋原性細胞から作製した成体骨格筋は、ラットまたはヒトのマクロファージが組み込まれると、in vitroおよびマウス背部皮膚透明窓モデルへの埋植で、損傷後に自己修復する。
Contractile deficits in engineered cardiac microtissues as a result of MYBPC3 deficiency and mechanical overload
doi: 10.1038/s41551-018-0280-4
組織の収縮に対する機械的耐性の調節を可能にするように作製された心臓組織が、横紋心筋にみられる太いフィラメントのアクセサリータンパク質の欠如に関連する遺伝病のモデル化を促進する。
How to design preclinical studies in nanomedicine and cell therapy to maximize the prospects of clinical translation
doi: 10.1038/s41551-018-0314-y
このPerspective論文は、ナノ医薬品および細胞療法の前臨床試験に関して再現性と臨床応用可能性を高めるための適切な試験計画の重要性を論じている。
Alginate encapsulation as long-term immune protection of allogeneic pancreatic islet cells transplanted into the omental bursa of macaques
doi: 10.1038/s41551-018-0275-1
アルギン酸塩マイクロスフェアに封入された膵島細胞を非ヒト霊長類の腹膜腔の網嚢内に移植すると、異物反応が著明に低下して膵島細胞の寿命が延長した。
Reduction of liver fibrosis by rationally designed macromolecular telmisartan prodrugs
doi: 10.1038/s41551-018-0279-x
線維化した肝組織で選択的に放出されるように最適化した高分子テルミサルタンプロドラッグは、マウスモデルの肝線維症を抑制し、ラットおよびイヌでは肝組織に保持されて良好な忍容性を示した。
Conjugation of haematopoietic stem cells and platelets decorated with anti-PD-1 antibodies augments anti-leukaemia efficacy
doi: 10.1038/s41551-018-0310-2
抗PD-1で修飾された血小板と結合させた造血幹細胞を白血病マウスに全身投与すると、このチェックポイント阻害剤の骨髄への送達が促進され、白血病の増殖および再発が抑制された。
Inhaled bacteriophage-loaded polymeric microparticles ameliorate acute lung infections
doi: 10.1038/s41551-018-0263-5
溶菌性バクテリオファージを担持するポリマーマイクロ粒子は、乾燥粉末の吸入によって肺全体に蓄積し、マウスの肺炎関連死を防ぐ。
Restoration of tumour-growth suppression in vivo via systemic nanoparticle-mediated delivery of PTEN mRNA
doi: 10.1038/s41551-018-0284-0
全身に送達されるポリマー脂質ナノ粒子にPTEN mRNAを封入してPTENヌル前立腺がん細胞に再導入すると、前立腺がんマウスモデルの腫瘍増殖が著明に阻害される。
DNA origami nanostructures can exhibit preferential renal uptake and alleviate acute kidney injury
doi: 10.1038/s41551-018-0317-8
種々の形状のDNA折り紙ナノ構造体が腎臓に選択的に蓄積し、なかには腎臓を保護するものもあることが、健常マウスおよび急性腎障害マウスモデルで明らかにされた。
Artificial intelligence in healthcare
doi: 10.1038/s41551-018-0305-z
この総説論文は、人工知能の医療応用、ならびに医療に対するその経済的、法律的、および社会的影響をまとめている。
Personalized virtual-heart technology for guiding the ablation of infarct-related ventricular tachycardia
doi: 10.1038/s41551-018-0282-2
梗塞関連の頻拍で最適なラジオ波焼灼療法の標的を特定する個別的な仮想心臓モデルが、大動物および患者での後ろ向き研究、ならびに患者での前向き研究で検証された。
Development and validation of a deep-learning algorithm for the detection of polyps during colonoscopy
doi: 10.1038/s41551-018-0301-3
患者1,138例で実施された結腸内視鏡検査で前向きに収集した画像および映像を用いた妥当性研究によると、結腸ポリープはディープラーニングアルゴリズムによって高い感度および特異性でリアルタイムに発見されるという。
Explainable machine-learning predictions for the prevention of hypoxaemia during surgery
doi: 10.1038/s41551-018-0304-0
機械学習をベースとし電子カルテの手術データで訓練された警告システムが、解釈可能なリアルタイムの予測を提供することによって、麻酔医が手術中の低酸素血症を予防するのに役立つ。
Live-cell phenotypic-biomarker microfluidic assay for the risk stratification of cancer patients via machine learning
doi: 10.1038/s41551-018-0285-z
生きている初代細胞の表現型バイオマーカーデータに機械学習アルゴリズムを用いる試験が、患者の前立腺がんおよび乳がん組織検体で手術後の有害な病理を予測する。
Computational fluid dynamics with imaging of cleared tissue and of in vivo perfusion predicts drug uptake and treatment responses in tumours
doi: 10.1038/s41551-018-0306-y
腫瘍組織の数学的モデル化、動物モデルの透明化腫瘍の光学的画像化、および腫瘍の血管灌流のin vivo画像化を組み合わせることにより、特定の治療薬の腫瘍内取り込みおよび分布が予測される。
Point-of-care sensors for the management of sepsis
doi: 10.1038/s41551-018-0288-9
このPerspective論文は、敗血症の診断およびモニタリングのためのポイントオブケア・センサーの現状を論じ、それを敗血症患者のケアの改善に使用する機会について概説している。
First-in-human study of the safety and viability of intraocular robotic surgery
doi: 10.1038/s41551-018-0248-4
ロボットが支援する眼内手術のヒト初回試験が、網膜の膜の除去および網膜下の治療薬注入に関するロボット装置の実現性および安全性を明らかにした。
A portable device for nucleic acid quantification powered by sunlight, a flame or electricity
doi: 10.1038/s41551-018-0286-y
さまざまな動力源で動作するポイントオブケア装置が、電源の信頼性が低く資源の限られた環境で感染症を診断するための定温核酸定量を可能にする。
Design and clinical validation of a point-of-care device for the diagnosis of lymphoma via contrast-enhanced microholography and machine learning
doi: 10.1038/s41551-018-0265-3
造影マイクロホログラフィーおよびディープラーニングを使用する低コストのポイントオブケア装置が、腫脹リンパ節の吸引および生検を要すると判断された患者で悪性度の高いリンパ腫を正確に検出する。
Point-of-care production of therapeutic proteins of good-manufacturing-practice quality
doi: 10.1038/s41551-018-0259-1
ポータブル装置が、現行のGMP(適正製造規範)条件のもと数時間で治療薬品質の生物製剤を自動製造することを可能にする。
Monitoring of the central blood pressure waveform via a conformal ultrasonic device
doi: 10.1038/s41551-018-0287-x
深部の動静脈部位の血圧波形を捕捉する伸縮性の皮膚貼付型超音波装置が、心血管事象の連続モニタリングを可能にする。
An intravascular magnetic wire for the high-throughput retrieval of circulating tumour cells in vivo
doi: 10.1038/s41551-018-0257-3
標識した循環血中腫瘍細胞を血管内で回収する磁気ワイヤが、麻酔ブタでの細胞の捕捉を、標準的な採血に対して最大2桁改善させる。
A high-impedance detector-array glove for magnetic resonance imaging of the hand
doi: 10.1038/s41551-018-0233-y
高インピーダンス検出器のアレイを有する柔軟な磁気共鳴イメージングコイルは、手袋に縫い付けて使用することにより、手の軟組織の機能的構造を画像化することができる。
TLR7/8-agonist-loaded nanoparticles promote the polarization of tumour-associated macrophages to enhance cancer immunotherapy
doi: 10.1038/s41551-018-0236-8
Toll様受容体TLR7およびTLR8のアンタゴニストを担持するβ-シクロデキストリンのナノ粒子は、腫瘍関連マクロファージの表現型をM1とし、チェックポイント阻害剤との併用で腫瘍マウスモデルの免疫療法応答率を改善した。
A designer self-assembled supramolecule amplifies macrophage immune responses against aggressive cancer
doi: 10.1038/s41551-018-0254-6
マクロファージ上のコロニー刺激因子1受容体およびSIRPαを阻害する超分子は、黒色腫および乳がんに関する悪性度の高い2種類の動物モデルにおいて、抗腫瘍および抗転移効果を有意に増強した。
Low-dose X-ray radiotherapy–radiodynamic therapy via nanoscale metal–organic frameworks enhances checkpoint blockade immunotherapy
doi: 10.1038/s41551-018-0203-4
ナノスケールの金属有機構造体の腫瘍内注射によって行われる放射線治療・放射線力学治療を免疫チェックポイント阻害と併用することにより、乳がんおよび大腸がんのマウスモデルで全身の抗腫瘍免疫および腫瘍拒絶が促進された。
Combined local immunostimulatory radioisotope therapy and systemic immune checkpoint blockade imparts potent antitumour responses
doi: 10.1038/s41551-018-0262-6
酵素カタラーゼ、放射性同位体、および免疫刺激物質を含むハイドロゲルの局所投与を全身の免疫チェックポイント阻害と組み合わせると、マウスモデルの効果的な抗腫瘍免疫応答が促進された。
Acoustically targeted chemogenetics for the non-invasive control of neural circuits
doi: 10.1038/s41551-018-0258-2
集束超音波と、特別な薬物で活性化されるように作製したウイルスコード型受容体とを組み合わせると、その薬物を静脈内投与することにより、マウス脳領域の細胞型および時空間特異的な非侵襲的活性化や阻害が可能となる。
Spectrally distinct channelrhodopsins for two-colour optogenetic peripheral nerve stimulation
doi: 10.1038/s41551-018-0255-5
活性化反応性のスペクトルが異なる2種類のチャネルロドプシンによる混合神経のウイルストランスフェクションが、2色の神経刺激を介して、ラット後肢の対立筋ペアの活動に対する光遺伝学的制御を可能にする。
Nanoparticle delivery of CRISPR into the brain rescues a mouse model of fragile X syndrome from exaggerated repetitive behaviours
doi: 10.1038/s41551-018-0252-8
脆弱X症候群の成体マウスモデルの脳内で非ウイルスCas9送達担体の頭蓋内注射によって行われる単一遺伝子の遺伝子編集が、この疾患によって引き起こされる過剰な反復行動からマウスを解放する。
Rational design of silicon structures for optically controlled multiscale biointerfaces
doi: 10.1038/s41551-018-0230-1
細胞内、細胞間、および細胞外のシリコン界面が、細胞内カルシウム動態、細胞興奮性、脳切片からの神経伝達物質放出、およびin vivoでの脳活動に関して、光で制御される非遺伝学的な調節を可能にする。
Three-dimensional brain-like microenvironments facilitate the direct reprogramming of fibroblasts into therapeutic neurons
doi: 10.1038/s41551-018-0260-8
脱細胞化したヒト脳組織から作製されたヒドロゲルが初代マウス胚性繊維芽細胞から人工ニューロン細胞への直接転換を促進し、それが虚血性脳血管障害の動物モデルで移植後の治療転帰につながる。
Effects of 3D culturing conditions on the transcriptomic profile of stem-cell-derived neurons
doi: 10.1038/s41551-018-0219-9
培養条件が人工ニューロン細胞のトランスクリプトームプロファイルに影響を及ぼし、人工ニューロン細胞とアストロサイト細胞の三次元共培養物が同一ヒト胚性幹細胞プールから迅速に得られる。
A mechanistic roadmap for the clinical application of cardiac cell therapies
doi: 10.1038/s41551-018-0216-z
このPerspective論文は、最近の心臓細胞治療およびその限界を概説し、心臓の再生に細胞および次世代の無細胞生物製剤を使用するうえで有益な情報となる機構的理解の深化が必要と論じている。
Biomanufacturing for clinically advanced cell therapies
doi: 10.1038/s41551-018-0246-6
このReview論文は、臨床的に進歩した細胞治療のための細胞製品の製造について論じ、費用対効果の高い細胞治療の商業化に向けた製造上の潜在的障害および解決策を明らかにしている。
Programming CAR-T cells to kill cancer
doi: 10.1038/s41551-018-0235-9
このReview論文は、T細胞のキメラ抗原受容体(CAR)を概説し、血液がんおよび固形がんの次世代CAR-T療法を設計するための技術戦略を論じている。
Harnessing cell pluripotency for cardiovascular regenerative medicine
doi: 10.1038/s41551-018-0244-8
このReview論文は、心血管系再生のためのヒト多能性幹細胞およびその分化細胞の操作および使用について論じている。
Synthetic gene circuits for the detection, elimination and prevention of disease
doi: 10.1038/s41551-018-0215-0
このReview論文は、合成遺伝子回路の主要な診断的・治療的応用法とともに、その臨床化の見通しを論じている。
Sustained release of targeted cardiac therapy with a replenishable implanted epicardial reservoir
doi: 10.1038/s41551-018-0247-5
低分子、巨大分子、および細胞の持続的で反復的な心外膜直接投与を可能にする心外膜装置が、心筋梗塞のラットモデルで治療効果を発揮した。
Mechanically induced development and maturation of human intestinal organoids in vivo
doi: 10.1038/s41551-018-0243-9
マウスの腸間膜に移植したヒト腸管オルガノイドに圧縮ニチノールばねを組み込んで単軸ひずみを加えると、オルガノイドの成長および成熟が強化され、オルガノイドと天然のヒト腸との類似性が向上した。
Organ-specific metastases obtained by culturing colorectal cancer cells on tissue-specific decellularized scaffolds
doi: 10.1038/s41551-018-0231-0
脱細胞化した組織足場を用いる細胞培養法により、in vivoの臓器特異的ながん転移の表現型を再現する細胞コロニーが自発的に形成された。
Microvasculature-on-a-chip for the long-term study of endothelial barrier dysfunction and microvascular obstruction in disease
doi: 10.1038/s41551-018-0224-z
微小血管系の生理学的特性を再現する内皮化されたマイクロ流体装置により、鎌状赤血球症およびマラリアに関連する血管病理特性が、高い時空間分解能でリアルタイムに可視化された。
Efficacy and safety assessment of a TRAF6-targeted nanoimmunotherapy in atherosclerotic mice and non-human primates
doi: 10.1038/s41551-018-0221-2
単球とマクロファージの間のシグナル伝達に関与するタンパク質を標的とするナノ粒子免疫療法は、アテローム性動脈硬化マウスのプラークの炎症を抑制し、非ヒト霊長類に安全とみられた。
Cardiac recovery via extended cell-free delivery of extracellular vesicles secreted by cardiomyocytes derived from induced pluripotent stem cells
doi: 10.1038/s41551-018-0229-7
人工多能性幹細胞に由来する心筋細胞の細胞外小胞を持続的に送達するヒドロゲルパッチは、梗塞を起こしたラット心臓の組織の再生を増進する。
Targeting protein and peptide therapeutics to the heart via tannic acid modification
doi: 10.1038/s41551-018-0227-9
タンパク質およびペプチド治療薬をタンニン酸で修飾すると、心臓組織を特異的に標的とする能力が向上することが、心筋虚血再灌流障害のラットモデルで示された。
Micelles with ultralow critical micelle concentration as carriers for drug delivery
doi: 10.1038/s41551-018-0234-x
きわめて低い測定不可能な臨界ミセル濃度をもつポリマー脂質ミセルは、黒色腫マウスモデルの治療転帰を大幅に改善するきわめて安定な薬物担体となる。
A ribonucleoprotein octamer for targeted siRNA delivery
doi: 10.1038/s41551-018-0214-1
エンドソーム分解ペプチドおよびsiRNA・標的化リガンド複合体を運ぶ自己集合性のリボ核タンパク質八量体は、エンドソームの不安定化および選択的な送達を促進し、前立腺がんのマウスモデルで効率的な遺伝子サイレンシングを実現した。
Diagnosis of sepsis from a drop of blood by measurement of spontaneous neutrophil motility in a microfluidic assay
doi: 10.1038/s41551-018-0208-z
好中球の自発的運動を測定することによって1滴の希釈血液から敗血症を識別するマイクロ流体分析法が、2つの独立した患者コホートで97%の感度と98%の特異性を示した。
Magnetic resonance multitasking for motion-resolved quantitative cardiovascular imaging
doi: 10.1038/s41551-018-0217-y
心血管磁気共鳴イメージングで心拍動などの体の動きによって引き起こされるアーティファクトを低減するための連続取得法が、心電図トリガリングおよび息止めに対する依存度を低下させる。
Abnormal scar identification with spherical-nucleic-acid technology
doi: 10.1038/s41551-018-0218-x
結合組織増殖因子の細胞内mRNA発現を検出するために局所的に用いられるイメージングナノプローブは、生きている小動物の皮膚および生体外のヒト皮膚の肥厚性瘢痕およびケロイドの検出を可能にする。
Profiling of protein–protein interactions via single-molecule techniques predicts the dependence of cancers on growth-factor receptors
doi: 10.1038/s41551-018-0212-3
複合的な単一分子プルダウン・共免疫沈降分析法によるタンパク質間相互作用の特性評価は、特定のがんについて、ヒト上皮増殖因子受容体のシグナル伝達複合体に対する依存性を明らかにする。
Maps of in vivo oxygen pressure with submillimetre resolution and nanomolar sensitivity enabled by Cherenkov-excited luminescence scanned imaging
doi: 10.1038/s41551-018-0220-3
薄いシート状のX線照射を利用してチェレンコフ発光の放射を生成する方法によって酸素感受性の分子プローブが画像化され、in vivoの腫瘍内酸素量がサブミリメートル分解能およびナノモル感度でマッピングされた。
Microneedle-based device for the one-step painless collection of capillary blood samples
doi: 10.1038/s41551-018-0194-1
マイクロニードルが並べられたコンパクトで自己完結的な装置は、ボタンを押せば100μlの血液が採取され、指先穿刺や静脈穿刺よりも取り回しと無痛性に優れる。
Prediction of cardiovascular risk factors from retinal fundus photographs via deep learning
doi: 10.1038/s41551-018-0195-0
喫煙状況、血圧、年齢などの心血管危険因子が、ディープラーニングによって網膜画像から予測された。従来、そうした危険因子を網膜画像から見いだしたり定量化したりすることは考えられていなかった。
Needle-shaped ultrathin piezoelectric microsystem for guided tissue targeting via mechanical sensing
doi: 10.1038/s41551-018-0201-6
突き刺したり通常の生検針に取り付けたりすることができる針型の極細圧電マイクロシステムは、組織の係数の変動をリアルタイムで測定するものであり、正常組織と異常組織との識別に用いることができる。
Chemically defined and growth-factor-free culture system for the expansion and derivation of human pluripotent stem cells
doi: 10.1038/s41551-018-0200-7
ヒト多能性幹細胞を長期培養するための新たな合成培地で使用されているのは、わずか3種類の低分子化合物、および市販の培地を下回る数の遺伝子組換えタンパク質である。
Cell-type-specific brain methylomes profiled via ultralow-input microfluidics
doi: 10.1038/s41551-018-0204-3
マイクロフルイディクスに基づく塩基配列解読法が、ナノグラムにも満たない量のDNAで全ゲノムのDNAメチル化をプロファイリングし、抗精神病薬投与マウスの脳に存在するグリア細胞とニューロンの核にみられるDNAメチロームパターンの差を見いだす。
Fatigue as the missing link between bone fragility and fracture
doi: 10.1038/s41551-017-0183-9
このPerspective論文は、高齢者の骨折の多くが、疲労クラックを誘発する日常活動由来の周期的負荷から生じる脆弱性骨折であって、衝撃や外傷によるものではないと論じている。
Profiling circulating tumour cells and other biomarkers of invasive cancers
doi: 10.1038/s41551-018-0190-5
このReview論文は、転移能の高い腫瘍を発見するための循環血中腫瘍細胞の分離および表現型プロファイリング技術とともに、その細胞を臨床応用するための要件を考察している。
Simultaneous positron emission tomography and ultrafast ultrasound for hybrid molecular, anatomical and functional imaging
doi: 10.1038/s41551-018-0188-z
陽電子放射断層撮影法、コンピューター断層撮影法、および超高速超音波法を組み合わせたシステムが、動物モデルのマルチパラメトリックな同時イメージングを可能にする。
Antibiotic-loaded nanoparticles targeted to the site of infection enhance antibacterial efficacy
doi: 10.1038/s41551-017-0187-5
黄色ブドウ球菌と特異的に結合するペプチド(ファージディスプレイ法で同定)と結合させた抗生物質担持ナノ粒子が、in vivoでブドウ球菌感染を効果的に抑制した。
Prolonged survival of transplanted stem cells after ischaemic injury via the slow release of pro-survival peptides from a collagen matrix
doi: 10.1038/s41551-018-0191-4
注射可能なコラーゲンデンドリマー生体材料に架橋結合させた生存促進ペプチド類似体の徐放により、虚血性傷害のマウスモデルに植え付けた幹細胞の生着が改善されて生存期間が有意に延長した。
Treatment of chronic pain by designer cells controlled by spearmint aromatherapy
doi: 10.1038/s41551-018-0192-3
スペアミントの匂いに反応して鎮痛物質を産生するように作製された細胞を、慢性疼痛のマウスモデルに植え付けると、スペアミント精油の経口摂取後の疼痛関連行動が減少し、有害作用は認められなかった。
Elastomeric sensor surfaces for high-throughput single-cell force cytometry
doi: 10.1038/s41551-018-0193-2
エラストマーに埋め込んだ培養細胞用の力センサーを含むマイクロテクノロジーにより、収縮性細胞による単一細胞力発生が、拡張性をもってきわめて並列的にハイスループット計測される。
Patient-specific design of a soft occluder for the left atrial appendage
doi: 10.1038/s41551-017-0180-z
患者特異的な軟質の心血管オクルーダーが、膨張性ポリマー製バルーンの三次元印刷および静的成形によって作製される。大動物のコンピューター断層撮影スキャンデータから作製されたものが、当該動物に設置された。
Targeted repair of heart injury by stem cells fused with platelet nanovesicles
doi: 10.1038/s41551-017-0182-x
心臓幹細胞の表面に血小板のナノ小胞を付着させると、急性心筋梗塞のラットおよびブタモデルにおいて、心臓へ送達された細胞の保持率が上昇し、梗塞サイズが縮小した。
Engineered commensal microbes for diet-mediated colorectal-cancer chemoprevention
doi: 10.1038/s41551-017-0181-y
アブラナ科野菜に存在する天然化合物を抗がん分子に変換する遺伝子組換え共生微生物は、その野菜とともにマウスに与えると、発がんを予防して結腸直腸がんの退縮を促進する。
Prediction of off-target activities for the end-to-end design of CRISPR guide RNAs
doi: 10.1038/s41551-017-0178-6
個々のガイド・標的ペアをスコア付けして所与のガイドの総合スコアを算出するクラウド型の機械学習ソフトウェアは、CRISPR-Cas9のオフターゲット効果の予測に関して競合アルゴリズムに勝る性能をもつ。
Convergence of microengineering and cellular self-organization towards functional tissue manufacturing
doi: 10.1038/s41551-017-0166-x
このPerspective論文は、複雑な生物学的特徴をもつ機能性組織の製造が、指向性自己組織化に依拠する組織製造法によって可能になると論じている。
Microscopy with ultraviolet surface excitation for rapid slide-free histology
doi: 10.1038/s41551-017-0165-y
スライド標本によらない低コストの非破壊的顕微鏡技術により、従来のヘマトキシリン・エオジン染色標本の画像に近い高解像度の組織像が迅速に得られる。
A cryptography-based approach for movement decoding
doi: 10.1038/s41551-017-0169-7
コンピューターで運動の統計量を用いて神経活動と運動変数とのマッピングを見いだす手法が、教師ありの方法と同等の成績でサルの意図的行動を解読する。
A dextran-based probe for the targeted magnetic resonance imaging of tumours expressing prostate-specific membrane antigen
doi: 10.1038/s41551-017-0168-8
デキストランで作られた生分解性プローブと前立腺特異的な膜抗原の尿素系ターゲッティングリガンドが、前立腺がん異種移植マウスモデルにおいて、受容体を発現する腫瘍の選択的磁気共鳴画像化を可能にする。
Sustained miRNA delivery from an injectable hydrogel promotes cardiomyocyte proliferation and functional regeneration after ischaemic injury
doi: 10.1038/s41551-017-0157-y
miR-302模倣物を心臓へ持続的に送達する注入可能なヒアルロン酸ハイドロゲルが、心筋梗塞を生じたマウスの心筋細胞増殖を促進して心機能を改善する。
Surveillance nanotechnology for multi-organ cancer metastases
doi: 10.1038/s41551-017-0167-9
短波長赤外光を放射する希土類ドープアルブミン封入ナノ粒子が、マウスの多臓器転移巣の全身リアルタイム追跡を可能にする。
Glial responses to implanted electrodes in the brain
doi: 10.1038/s41551-017-0154-1
このReviewは、脳内埋植デバイスの機能および組み込みのエフェクターとしてのグリアの役割、ならびにそれがデバイスの開発に及ぼす影響を論じている。
Ectopic expression of RAD52 and dn53BP1 improves homology-directed repair during CRISPR–Cas9 genome editing
doi: 10.1038/s41551-017-0145-2
2つの決まったDNA修復因子の発現は、患者由来の人工多能性幹細胞をはじめとするヒト細胞において、さまざまな座位での相同組換え修復を促進し、CRISPR–Cas9遺伝子編集の精度を高める。
Nanoparticle delivery of Cas9 ribonucleoprotein and donor DNA in vivo induces homology-directed DNA repair
doi: 10.1038/s41551-017-0137-2
Cas9リボ核タンパク質およびドナーDNAを保持してエンドソーム破壊性ポリマーと複合体を形成する金ナノ粒子は、マウスでデュシェンヌ型筋ジストロフィーを引き起こすDNA変異を修正し、オフターゲット効果を最小限に抑える。
Macrogenomic engineering via modulation of the scaling of chromatin packing density
doi: 10.1038/s41551-017-0153-2
局所的クロマチン環境の特性を表すモデルは、遺伝子発現パターンの調節を予測し、がん細胞の治療反応向上を導く化学療法剤アジュバントのスクリーニングに役立つ。
Non-destructive two-photon excited fluorescence imaging identifies early nodules in calcific aortic-valve disease
doi: 10.1038/s41551-017-0152-3
非線形顕微鏡法が、動物およびヒトの大動脈弁の初期的な石灰化の徴候と一致する蛍光シグネチャーを見いだす。
Determining T-cell specificity to understand and treat disease
doi: 10.1038/s41551-017-0143-4
このPerspectiveは、近年のフローサイトメトリーおよびDNA塩基配列解読法の技術的発達が、感染症、がん、および自己免疫におけるT細胞特異性の評価を可能にし、疾患の発現および治療に関する情報をもたらすことを論じている。
Whole-tissue biopsy phenotyping of three-dimensional tumours reveals patterns of cancer heterogeneity
doi: 10.1038/s41551-017-0139-0
3D光シート顕微鏡法で完全な生検標本の腫瘍不均一性パターンを明らかにする方法が、患者を腫瘍ステージごとに振り分ける。
Flexible piezoelectric devices for gastrointestinal motility sensing
doi: 10.1038/s41551-017-0140-7
胃腔の機械的変形を感知する経口投入可能でしなやかな圧電センサーにより、ブタ消化管の摂食状態がモニタリングされる。
A growth-accommodating implant for paediatric applications
doi: 10.1038/s41551-017-0142-5
生分解性のコア部と管状の網組スリーブからなる埋植可能なデバイスが自律的に伸長して組織の成長に適応することが、ラットの脛骨および仔ブタの心臓弁に埋植した試作品によって示された。
Transcriptomic and epigenomic differences in human induced pluripotent stem cells generated from six reprogramming methods
doi: 10.1038/s41551-017-0141-6
同一の繊維芽細胞集団から樹立したヒト人工多能性幹細胞群のエピゲノムおよびトランスクリプトームの差は、再プログラム化法が細胞の遺伝子発現レベルに影響を及ぼす一方でその分化能には影響しないことを明らかにしている。
An integrated bacterial system for the discovery of chemical rescuers of disease-associated protein misfolding
doi: 10.1038/s41551-017-0144-3
蛍光アッセイによる環状ペプチドのスクリーニングで、タンパク質の折りたたみ異常を予防する活性が探索された。タンパク質の折りたたみ異常という事象は、アルツハイマー病や筋萎縮性側索硬化症などの疾患につながる病原性凝集体を生成することもある。
Multiplexed imaging for diagnosis and therapy
doi: 10.1038/s41551-017-0131-8
この総説は、シグナルとモダリティーの組み合わせによって患者の診断および治療のモニタリングを向上させるイメージング法について論じている。
Multiplexed enrichment of rare DNA variants via sequence-selective and temperature-robust amplification
doi: 10.1038/s41551-017-0126-5
既存のポリメラーゼ連鎖反応法の温度感受性を克服する汎用的な手法が、一塩基DNA変動体を選択的に増幅する。
Laser-emission imaging of nuclear biomarkers for high-contrast cancer screening and immunodiagnosis
doi: 10.1038/s41551-017-0128-3
走査型レーザー放射顕微鏡により、患者組織検体のサブマイクロメートル分解能での核バイオマーカーマッピングおよび早期肺がん診断が可能となる。
Localization of microscale devices in vivo using addressable transmitters operated as magnetic spins
doi: 10.1038/s41551-017-0129-2
核磁気共鳴の原理を採り入れることにより、麻酔マウス体内のマイクロデバイスの位置情報がサブミリメートルの精度で得られる。
A non-cytotoxic dendrimer with innate and potent anticancer and anti-metastatic activities
doi: 10.1038/s41551-017-0130-9
生物が利用可能な銅を枯渇させて腫瘍の血管形成の抑制を導くデンドリマーが、細胞毒性のない強力ながん治療薬として作用する。
Stimulation of 3D osteogenesis by mesenchymal stem cells using a nanovibrational bioreactor
doi: 10.1038/s41551-017-0127-4
バイオリアクターが与えるナノスケールの振動が、他の環境因子とは無関係に、三次元で間葉系幹細胞の石灰化組織への分化を引き起こす。
Iron oxide nanoclusters for T 1 magnetic resonance imaging of non-human primates
doi: 10.1038/s41551-017-0116-7
均一な酸化鉄ナノ粒子のクラスターは、生体適合性が高く、大型動物の高分解能磁気共鳴血管造影法の造影剤として使用することができる。
Ultrasound-triggered local anaesthesia
doi: 10.1038/s41551-017-0117-6
リポソームに封入した麻酔薬の放出を超音波パルスで制御することにより、ラットの坐骨神経ブロックのタイミング、強度、および持続時間が調節される。
A microsensing system for the in vivo real-time detection of local drug kinetics
doi: 10.1038/s41551-017-0118-5
微小ガラス電極およびホウ素ドープダイヤモンドの微小センサーからなるシステムは、ラット脳およびモルモット蝸牛で、注射した薬物のリアルタイムな局所動態、およびそれによって生じる電気生理学的活性を、同時に追跡することができる。
Nanoparticle-mediated local depletion of tumour-associated platelets disrupts vascular barriers and augments drug accumulation in tumours
doi: 10.1038/s41551-017-0115-8
抗血小板抗体および化学療法薬を運搬するポリマー・脂質・ペプチドナノ粒子は、腫瘍関連血小板を減少させて血管の透過性を高め、腫瘍内の薬物蓄積を増強する。
Light-sheet microscopy for slide-free non-destructive pathology of large clinical specimens
doi: 10.1038/s41551-017-0084
光シート顕微鏡は、大きな外科検体および生検検体を大きな視野で二次元および三次元的かつ非破壊的に画像化する。その詳細さは、スライドグラスを用いる従来の病理組織検査に匹敵する。
Biophysical and biomolecular determination of cellular age in humans
doi: 10.1038/s41551-017-0093
細胞の生物物理学的特性を用いることにより、従来の生体分子マーカーをしのぐ正確度でヒトの細胞年齢を予測することができる。
Microscale arrays for the profiling of start and stop signals coordinating human-neutrophil swarming
doi: 10.1038/s41551-017-0094
ザイモサン粒子クラスターの大きなマイクロスケールアレイは、開始および停止シグナルの存在や、大きな外傷を負った患者の好中球の不十分な遊走挙動など、ヒト好中球遊走の特性解析を可能にする。
Long-adapter single-strand oligonucleotide probes for the massively multiplexed cloning of kilobase genome regions
doi: 10.1038/s41551-017-0092
共通のロングアダプター配列をもつ一本鎖オリゴヌクレオチドプローブのライブラリーは、400~5000 bpに及ぶオープンリーディングフレームを1回の反応で何千個もクローン化することができ、ヒトの便およびマイクロバイオーム試料のDNAに応用されている。
Versatile synthetic alternatives to Matrigel for vascular toxicity screening and stem cell expansion
doi: 10.1038/s41551-017-0096
アレイを用いる方法により、血管破壊化合物のスクリーニング、ならびにヒト胚性幹細胞の増殖および多能性の支持に関して、マトリゲルよりも優れた合成ハイドロゲルが発見された。
Engineering the pre-metastatic niche
doi: 10.1038/s41551-017-0077
この総説では、前転移ニッチを模倣して埋植部位で腫瘍細胞の挙動を調節する埋植可能な生体材料の進歩、ならびに転移の発見および治療介入に関するその将来性を論じている。
One-week glucose control via zero-order release kinetics from an injectable depot of glucagon-like peptide-1 fused to a thermosensitive biopolymer
doi: 10.1038/s41551-017-0078
遺伝子組換え技術でエラスチン様ポリペプチドと融合させたグルカゴン様ペプチド1の最適化された製剤により、3種類の糖尿病マウスモデルにおいて、皮下デポーからの0次放出動態および10日間の血糖制御が得られた。
Dramatic enhancement of the detection limits of bioassays via ultrafast deposition of polydopamine
doi: 10.1038/s41551-017-0082
ポリドーパミンの生体共役反応能力および超高速の局所的な沈着に依拠する簡単で多用途のアッセイを一般的な実験室バイオアッセイに組み込み、検出感度を桁違いに向上させることができた。
A fully functional drug-eluting joint implant
doi: 10.1038/s41551-017-0080
人工関節感染のウサギモデルにおいて、ポリマーインプラント中の抗生物質クラスターの形状および添加量の最適化は、インプラントの強度および摩耗率を維持しながら、抗生物質の溶出を増強して延長させた。
3D-printed vascular networks direct therapeutic angiogenesis in ischaemia
doi: 10.1038/s41551-017-0083
幾何学的に設計されて内皮化された血管構造を有し、3Dプリンターで作製された移植片は、後肢虚血および心筋梗塞の齧歯類モデルで遠位組織の灌流を回復させ、毛細血管の喪失、筋萎縮、および機能の喪失を予防した。
Host non-inflammatory neutrophils mediate the engraftment of bioengineered vascular networks
doi: 10.1038/s41551-017-0081
ヒト血管細胞の非集合懸濁物またはそれが集合したネットワークのいずれかを含む足場のin vivoでの生着を比較することにより、非炎症性の宿主好中球が血管形成に不可欠なメディエーターであることが示された。
Precision assessment of label-free psoriasis biomarkers with ultra-broadband optoacoustic mesoscopy
doi: 10.1038/s41551-017-0068
手持ち式の装置に組み込まれた超広帯域の光音響メゾスコープ観察法により、乾癬患者の真皮中および真皮下の血管パターンの可視化、ならびに乾癬の炎症バイオマーカーの定量が可能となった。
Single-impulse panoramic photoacoustic computed tomography of small-animal whole-body dynamics at high spatiotemporal resolution
doi: 10.1038/s41551-017-0071
シングルインパルス光音響コンピューター断層撮影法は、高い侵達度、分解能およびコントラストで、小動物の全身動態をリアルタイムに撮像し、注入したがん細胞の追跡およびラット全脳の血管系の画像化を行うことができる。
Closed-loop control of circulating drug levels in live animals
doi: 10.1038/s41551-017-0070
閉ループ制御システムが、ウサギでもラットでも、化学療法剤の濃度をリアルタイムに測定および調整し、事前に設定した治療濃度域内に維持した。
Mature induced-pluripotent-stem-cell-derived human podocytes reconstitute kidney glomerular-capillary-wall function on a chip
doi: 10.1038/s41551-017-0069
ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)を足細胞に分化させる効率的で化学的に明確なプロトコルにより、生体機能チップでヒト腎糸球体のクリアランスの差が再現される。
Engineering CRISPR–Cpf1 crRNAs and mRNAs to maximize genome editing efficiency
doi: 10.1038/s41551-017-0066
化学的に改変した一群のCRISPR RNA(crRNA)およびAsCpf1メッセンジャーRNAは、非改変のcrRNAおよびプラスミドコード化AsCpf1に対して、最大300%程度の遺伝子切断効率改善をもたらす。
Light scattering spectroscopy identifies the malignant potential of pancreatic cysts during endoscopy
doi: 10.1038/s41551-017-0040
臨床的な超音波ガイド下の細針吸引に対応した光学分光法および光ファイバープローブが、がん性、前がん性、および良性の膵嚢胞を正確に識別する。
Rapid magnetic isolation of extracellular vesicles via lipid-based nanoprobes
doi: 10.1038/s41551-017-0058
脂質ナノプローブで細胞外小胞の自発的な標識化を行い、標識化された小胞を磁気でとらえることにより、核酸およびタンパク質の分析に用いるナノスケールの細胞外小胞が約15分で効率よく分離される。
Nanoplasmonic quantification of tumour-derived extracellular vesicles in plasma microsamples for diagnosis and treatment monitoring
doi: 10.1038/s41551-016-0021
センサーチップ表面で抗体結合型ナノ粒子プローブを用いる迅速な低コストの超高感度アッセイが、腫瘍由来の細胞外小胞を定量し、血漿1 μlから膵がんを検出する。
A carbon nanotube reporter of microRNA hybridization events in vivo
doi: 10.1038/s41551-017-0041
マイクロRNAなどのオリゴヌクレオチドのin vivoならびに全尿および全血清中でのハイブリダイゼーション事象が、カーボンナノチューブセンサーでリアルタイムに光学定量される。
Ultrasensitive tumour-penetrating nanosensors of protease activity
doi: 10.1038/s41551-017-0054
腫瘍侵入リガンドおよびペプチド基質を備え最大限の腫瘍特異的プロテアーゼ切断を生じる最適化されたナノセンサーが、ヒト上皮腫瘍異種移植片および卵巣がん同所性モデルの5 mmに満たない病巣を検出する。
Successively activatable ultrasensitive probe for imaging tumour acidity and hypoxia
doi: 10.1038/s41551-017-0057
腫瘍の酸性度および低酸素状態に連続的に反応しながら信号伝搬によって検出感度を増幅する巨大分子近赤外プローブが、マウスのわずか1 mmという転移腫瘍結節を検出する。
EBNA1-targeted probe for the imaging and growth inhibition of tumours associated with the Epstein–Barr virus
doi: 10.1038/s41551-017-0042
Epstein–Barrウイルスの腫瘍タンパク質の二量体化に対するペプチド系蛍光阻害物質が、マウスでウイルス関連腫瘍の増殖を阻害する。
Next-generation in vivo optical imaging with short-wave infrared quantum dots
doi: 10.1038/s41551-017-0056
短波長赤外線スペクトル領域で発光する機能化InAs量子ドットが、過去に例のない高さの空間解像度、侵達度、および取得速度での機能的生物医学イメージングを可能にする。
Medical devices on chips
doi: 10.1038/s41551-017-0045
このPerspective論文は、「チップ上の医療機器」の概念、すなわち医療機器の開発および試験に「チップ上の臓器」技術を利用するマイクロ生理学システムを提示している。
Cross-circulation for extracorporeal support and recovery of the lung
doi: 10.1038/s41551-017-0037
体外交差循環方式が、ブタモデルで、健常肺の36時間の正常温度灌流、損傷肺の回復、およびすべての肺の長期的治療介入を可能にする。
Prolonged energy harvesting for ingestible devices
doi: 10.1038/s41551-016-0022
生体適合性のエネルギー収集型電気化学電池が、ブタ消化管内で平均6.1日間にわたって温度を測定するワイヤレスセンサーに電力を供給する。
Conformal phased surfaces for wireless powering of bioelectronic microdevices
doi: 10.1038/s41551-017-0043
体表面に形状適応する整相電磁表面は、4 cmを超える深さに埋植した小型半導体デバイスへワイヤレスで電力を伝送することにより、ブタモデルの心調律を調節することができる。
Capacitively coupled arrays of multiplexed flexible silicon transistors for long-term cardiac electrophysiology
doi: 10.1038/s41551-017-0038
密閉誘電体層による組織とフレキシブル集積電子デバイスとの容量結合は、長期の電気生理学的測定を支援する。生体外のランゲンドルフ心臓モデルでそれが実証された。
High-throughput nuclear delivery and rapid expression of DNA via mechanical and electrical cell-membrane disruption
doi: 10.1038/s41551-017-0039
細胞の機械的圧迫と形質膜および核膜の電場による一過性破壊とを組み合わせたマイクロ流体デバイスにより、毎分数百万個の細胞で迅速なDNA発現が実現される。
Fast-forming hydrogel with ultralow polymeric content as an artificial vitreous body
doi: 10.1038/s41551-017-0044
10分以内で作製される高度に分岐した高分子の架橋集合体からなるハイドロゲルは、高分子成分がごく低濃度で膨潤圧がきわめて低いため、1年以上にわたって有害作用を引き起こすことなく人工硝子体として機能することができる。
Designing nanomedicine for immuno-oncology
doi: 10.1038/s41551-017-0029
がん免疫療法の近年の成功に基づき、このPerspective論文は、疾患部位から離れて抗腫瘍免疫を刺激する効果的ながんナノ薬剤療法が設計可能であることを論じている。
An artificial intelligence platform for the multihospital collaborative management of congenital cataracts
doi: 10.1038/s41551-016-0024
多施設共同研究用のクラウド型プラットフォームが組み込まれた人工知能のエージェントは、一連のオンライン試験および多施設臨床試験において、先天性白内障の診断で眼科医に匹敵する成績を収めた。
Rapid intraoperative histology of unprocessed surgical specimens via fibre-laser-based stimulated Raman scattering microscopy
doi: 10.1038/s41551-016-0027
誘導ラマン分光法およびファイバーレーザー技術を利用して、手術室でリアルタイムにバーチャルな組織像が得られた。その診断精度は、従来の組織病理学に匹敵するものである。
Real-time intraoperative monitoring of blood coagulability via coherence-gated light scattering
doi: 10.1038/s41551-017-0028
標準的な血管アクセス装置に直接組み込むことのできる光ファイバー技術を用いて行う光散乱法が、手術室でのリアルタイムな血液凝固能モニタリングを可能にする。
Man/machine interface based on the discharge timings of spinal motor neurons after targeted muscle reinnervation
doi: 10.1038/s41551-016-0025
上肢切断者の欠損肢の筋肉を再支配した脊髄運動ニューロンの活動に基づくマンマシンインターフェースが、義肢制御用の神経シグナルの生成を可能にする。
Multimodal laser-based angioscopy for structural, chemical and biological imaging of atherosclerosis
doi: 10.1038/s41551-016-0023
血管組織に固有の蛍光成分のレーザー誘起蛍光発光と反射とを組み合わせた走査型ファイバー内視鏡により、ヒトのアテローム斑のリアルタイムな構造、生化学、および生物学的画像が得られる。
In situ activation of platelets with checkpoint inhibitors for post-surgical cancer immunotherapy
doi: 10.1038/s41551-016-0011
免疫チェックポイントタンパク質に対する抗体と結合させた血小板が、切除床および血中循環腫瘍細胞を標的とすることにより、原発腫瘍切除後の再発および転移を予防する。
Light in diagnosis, therapy and surgery
doi: 10.1038/s41551-016-0008
この総説論文は、イメージング、診断、治療、および手術での光の利用に関して幅広く説明し、光を利用した新たな技術の将来性について考察している。
Near-infrared fluorophores for biomedical imaging
doi: 10.1038/s41551-016-0010
この総説論文は、前臨床動物試験ならびに臨床診断および介入のための近赤外蛍光イメージングに関する近年の進歩について論じている。
Hand-powered ultralow-cost paper centrifuge
doi: 10.1038/s41551-016-0009
2枚の紙製ディスク、ひも、および2つの木製ハンドルで作った手動式遠心分離機は、回転速度が毎分12万5000回転に達し、1.5分未満で全血から純粋な血漿を分離して、15分でマラリア原虫を分離することが示された。
The do-it-yourself centrifuge
doi: 10.1038/s41551-016-0026
紙とひもで作られた手回し式の遠心分離機は、2分足らずで全血から血漿を分離することができ、実験設備や電力のない地域でマラリアなどの感染症の診断に利用可能である。
A transistor-like pH nanoprobe for tumour detection and image-guided surgery
doi: 10.1038/s41551-016-0006
さまざまな腫瘍において蛍光シグナルを増幅する蛍光ナノプローブが、腫瘍アシドーシスの誘導により、頭頸部腫瘍や乳房腫瘍をもつマウスに潜む1 mm3未満の小結節のリアルタイムな検出および手術を実現する。
Self-adjusting synthetic gene circuit for correcting insulin resistance
doi: 10.1038/s41551-016-0005
移植された哺乳類細胞の自己調節性人工遺伝子回路がインスリン濃度を感知し、インスリン感受性亢進化合物アディポネクチンの発現を調整することによって3種類のマウスモデルでインスリン抵抗性症候群を改善する。
Examination of the foreign body response to biomaterials by nonlinear intravital microscopy
doi: 10.1038/s41551-016-0007
マクロファージおよび巨細胞が新血管形成を介して移植多孔質高分子足場材料の繊維性被包化を促進することが、非線形生体内三次元顕微鏡法で明らかにされた。
Long-term self-renewing human epicardial cells generated from pluripotent stem cells under defined xeno-free conditions
doi: 10.1038/s41551-016-0003
動物由来成分を含まず化学組成が明確な条件で古典的Wntシグナル伝達の一時的な調節によってヒト多能性幹細胞から作製した心外膜細胞は、TGF-βシグナル伝達阻害剤が長期的な増殖を可能にする。
A brush-polymer/exendin-4 conjugate reduces blood glucose levels for up to five days and eliminates poly(ethylene glycol) antigenicity
doi: 10.1038/s41551-016-0002
2型糖尿病治療薬エキセンディン-4をポリエチレングリコール(PEG)系のブラシポリマーと結合させると、抗PEG抗体に対する反応性が低下し、単回注射したマウスの血糖値が最長5日間にわたって抑制された。
Solid stress and elastic energy as measures of tumour mechanopathology
doi: 10.1038/s41551-016-0004
腫瘍の固体応力を解放する3つの方法は、超音波検査法または光学顕微鏡法により、応力が誘発する腫瘍の変形 ― ひいては蓄積された弾性エネルギー ― の2次元マッピング、高感度評価、およびin situ定量を実現した。