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Nature Electronics に掲載された一次研究論文(Articles および Letters)について、その概要を日本語で紹介しています。
Article: 柔軟なゴム状材料からなる、電気生理学的活動を時間的・空間的にマッピングできる生体電子工学的心外膜パッチ
An epicardial bioelectronic patch made from soft rubbery materials and capable of spatiotemporal mapping of electrophysiological activity
doi: 10.1038/s41928-020-00493-6
心臓組織の機械的柔軟性に合った材料でできた心外膜パッチは、拍動する心臓と共に変形しながら、ひずみや温度のセンシング、ペーシング、アブレーション治療、エネルギーハーベスティングに加えて、電気生理学的活動の時間的・空間的マッピングができる。
Article: スピン軌道強磁性体におけるフィールドライクトルクの抑制による高効率磁化反転
Suppression of the field-like torque for efficient magnetization switching in a spin–orbit ferromagnet
doi: 10.1038/s41928-020-00500-w
(Ga,Mn)As スピン軌道強磁性体の単層薄膜において、電流方向と膜厚の制御によりフィールドライクトルクを抑制することによって、4.6 × 104 A cm−2という低い磁化反転電流密度を実現できる。
Article: 単層二硫化モリブデン電界効果トランジスターに基づくラージスケール透明フレキシブル電子デバイス
Large-scale flexible and transparent electronics based on monolayer molybdenum disulfide field-effect transistors
doi: 10.1038/s41928-020-00475-8
ウエハースケールの単層MoS2を用いて、オン/オフ比が1010、電流密度が約35 μA μm−1、移動度が約55 cm2 V−1 s−1を示すフレキシブルなトランジスターおよび回路を作製できる。
Article: グラフェン上の一次元分子アレイにおける調整可能な電荷パターンを用いて作製した分子シフトレジスター
A molecular shift register made using tunable charge patterns in one-dimensional molecular arrays on graphene
doi: 10.1038/s41928-020-00479-4
グラフェン電界効果トランジスター上の一次元分子アレイは、バックゲート電極によるグラフェンフェルミ準位の調整や、個々の分子の操作によって、異なる周期的電荷状態間で可逆的にスイッチング可能であるため、ナノスケールのシフトレジスターとして機能する。
News & Views: 聴覚障がい者コミュニティーは実際に手話グローブを必要としているか?
Do deaf communities actually want sign language gloves?
doi: 10.1038/s41928-020-0451-7
手話認識・翻訳技術の開発には、聴覚障がいのある協力者と始める学際的アプローチが必要である。
Article: 巨大な障壁高さ変調による強誘電体ファンデルワールスヘテロ接合における高いトンネル電気抵抗
High tunnelling electroresistance in a ferroelectric van der Waals heterojunction via giant barrier height modulation
doi: 10.1038/s41928-020-0441-9
強誘電体障壁として銅インジウムチオホスフェートを、非対称コンタクトとしてグラフェンとクロムを用いた強誘電体トンネル接合では、オン状態とオフ状態の間の抵抗比を高くできる。
Article: 5Gおよびテラヘルツ通信システムへの応用に向けた単層窒化ホウ素からなるアナログスイッチ
Analogue switches made from boron nitride monolayers for application in 5G and terahertz communication systems
doi: 10.1038/s41928-020-0416-x
原子レベルの薄さの六方晶窒化ホウ素シートにおける抵抗スイッチングを利用して、無線周波数、5G周波数、テラヘルツ周波数にわたる通信システムへの応用に向けたアナログスイッチを作ることができる。
Review Article: 時間変調に基づく非相反エレクトロニクス
Non-reciprocal electronics based on temporal modulation
doi: 10.1038/s41928-020-0400-5
本Review Articleは、非磁性非相反エレクトロニクスの開発について、誘電率や伝導率の時間変調に基づくアプローチや、量子コンピューティング用の超伝導部品を含めて、時間変調に基づくデバイスに重点を置いて検討している。
Article: 生体認証およびバイタルサイン計測向けのコンフォーマブル・イメージセンサー
A conformable imager for biometric authentication and vital sign measurement
doi: 10.1038/s41928-019-0354-7
解像度508ピクセル/インチ、速度41フレーム/秒、総厚 わずか15 μmのコンフォーマブル・イメージセンサーを用いることで、指紋や静脈の撮像や脈波のマッピングが可能になっている。
Article: 漏洩波コヒーレンストモグラフィーに基づく集積テラヘルツレーダー
Integrated terahertz radar based on leaky-wave coherence tomography
doi: 10.1038/s41928-019-0357-4
1対の漏洩波アンテナを利用することで、フェーズシフターもサーキュレーターも用いない小型集積テラヘルツレーダー検出システムが作製可能になっている。
Article: 二次元電子デバイス向けの均一な超薄膜high-κゲート誘電体
Uniform and ultrathin high-κ gate dielectrics for two-dimensional electronic devices
doi: 10.1038/s41928-019-0334-y
単層分子結晶を種層として使用することで、グラフェン、二硫化モリブデン、および二セレン化タングステン上に、等価酸化膜厚がわずか1nmの酸化ハフニウム誘電体を堆積させることができる。
Article: 砂時計形シリコンナノワイヤーフォトダイオードの近赤外光応答をウィスパリングギャラリーモードが増強する
Whispering gallery modes enhance the near-infrared photoresponse of hourglass-shaped silicon nanowire photodiodes
doi: 10.1038/s41928-019-0317-z
シリコンを用いた光検出器の吸収プロファイルは、光共鳴効果を利用することで、近赤外および短波長赤外領域まで拡張することができる。
Article: 強誘電半導体電界効果トランジスター
A ferroelectric semiconductor field-effect transistor
doi: 10.1038/s41928-019-0338-7
二次元強誘電半導体α-In2Se3をチャネル材料とする強誘電半導体電界効果トランジスターは、不揮発性メモリーへの用途において、従来型の強誘電体電界効果トランジスターより高い能力を提供できる可能性がある。
Article: 高い動作安定性を有するハイブリッド有機‐金属酸化物多層チャネルトランジスター
Hybrid organic–metal oxide multilayer channel transistors with high operational stability
doi: 10.1038/s41928-019-0342-y
酸化インジウム、酸化亜鉛ナノ粒子、オゾン処理したポリスチレン、および酸化亜鉛焼結体の超薄膜層から構成される溶液処理した多層チャネルから、高い電子移動度と動作安定性を有する薄膜トランジスターを作製することができる。
Article: アナログニューロモーフィックコンピューティング向けの低消費電力メムリスター動作モードを用いた二端子浮遊ゲートトランジスター
Two-terminal floating-gate transistors with a low-power memristive operation mode for analogue neuromorphic computing
doi: 10.1038/s41928-019-0331-1
商用の180nmCMOSプロセスで作製された浮遊ゲートメムリスターデバイスを集積してセレクターのないメムリスターアレイにし、基本的なニューロモーフィック用途の実証に使用することができる。
Article: インターネット・オブ・エブリシング向けの薄膜エレクトロニクスを用いたタッチスクリーンタグ
Touchscreen tags based on thin-film electronics for the Internet of Everything
doi: 10.1038/s41928-019-0333-z
薄膜トランジスター技術を使って作製した認証タグを用いることで、市販のタッチスクリーンを静電容量結合式のデータ転送向けのリーダーインターフェースとして働かせることができる。認証タグには、タッチスクリーンの光を変換する薄膜太陽電池から給電することができる。
Perspective: カーボンナノチューブのデジタルエレクトロニクス
Carbon nanotube digital electronics
doi: 10.1038/s41928-019-0330-2
今月号のPerspectiveではカーボンナノチューブエレクトロニクスの可能性を取り上げ、ナノチューブを使った電界効果トランジスターと集積回路の開発、そして大規模システムを実現する上で存在する課題について検証する。
Article: ハフニウム・ジルコニウム酸化物を用いた超薄膜集積化ナノ電気機械トランスデューサー
An ultrathin integrated nanoelectromechanical transducer based on hafnium zirconium oxide
doi: 10.1038/s41928-019-0305-3
ハフニウム・ジルコニウム酸化物を集積させた厚さ10nmのトランスデューサー層を使って、周波数が340 kHzから13 GHzのナノメカニカル共振器を作り出すことができる。
Article: 溶液プロセスで作製された銀ナノワイヤー電極を用いたフレキシブル有機光起電デバイス
Flexible organic photovoltaics based on water-processed silver nanowire electrodes
doi: 10.1038/s41928-019-0315-1
イオンの静電荷反発力により格子状構造を形成する銀ナノワイヤーから作製したフレキシブルな透明電極を使って、出力変換効率がそれぞれ13.1%と16.5%の、フレキシブルな単接合型およびタンデム型の有機光起電デバイスを作り出すことができる。
Article: ワンショット学習向けの強誘電体三値連想メモリー
Ferroelectric ternary content-addressable memory for one-shot learning
doi: 10.1038/s41928-019-0321-3
強誘電体電界効果トランジスターを2つ用いた小型の三値連想メモリーセルにより、GPUを用いたこれまでの手法に比べてエネルギー性能およびレイテンシ性能に優れたメモリー拡張ニューラルネットワークを実現することができる。
Article: 100GHz超の周波数で動作しウェーハ規模で実現可能な配向カーボンナノチューブトランジスター
Wafer-scalable, aligned carbon nanotube transistors operating at frequencies of over 100 GHz
doi: 10.1038/s41928-019-0326-y
配向カーボンナノチューブから作製した高周波トランジスター により、高い線形性と100GHz超の外因性のカットオフ周波数が得られる。
Article: 溶液プロセスを用いた高電圧薄膜エレクトロニクスの低電圧集積回路上へのモノリシック集積化
Monolithic integration of high-voltage thin-film electronics on low-voltage integrated circuits using a solution process
doi: 10.1038/s41928-019-0316-0
大気中の溶液プロセスを用いて、100nmノードのフィンFETを含むシリコン集積回路の最上層に、高電圧アモルファス酸化物半導体薄膜トランジスターを集積させることができる。
Review Article: 電子デバイスおよび光デバイス向け異種材料集積化のエピタキシャル成長と層転写の技術
Epitaxial growth and layer-transfer techniques for heterogeneous integration of materials for electronic and photonic devices
doi: 10.1038/s41928-019-0314-2
今月号のReview Articleでは、最先端の電子デバイスおよび光デバイス分野での応用のために異種単結晶材料をモノリシック集積化するエピタキシャル成長と層転写の技術の進歩について検証する。
Article: 超伝導体から半導体へのインターフェースを提供する超高インピーダンスを有する超伝導温度スイッチ
A superconducting thermal switch with ultrahigh impedance for interfacing superconductors to semiconductors
doi: 10.1038/s41928-019-0300-8
数ケルビン程度の温度で、低電圧超伝導入力を半導体に適合した出力へと直接変換することができる超伝導スイッチは、将来の量子およびニューロモルフィックコンピューティングアーキテクチャー向けの、超伝導体から半導体への論理インターフェースを提供する可能性がある。
Article: 二次元強磁性体の微小磁気測定
Micromagnetometry of two-dimensional ferromagnets
doi: 10.1038/s41928-019-0302-6
グラフェンを用いたホール磁気測定装置を使用して、二次元強磁性体の磁化を調べることができる。
Article: 巨視的スケールからナノスケールまでズームできる集積回路の三次元画像化
Three-dimensional imaging of integrated circuits with macro- to nanoscale zoom
doi: 10.1038/s41928-019-0309-z
X線タイコグラフィーと断層撮影を組み合わせた手法により、集積回路の三次元図を得ることができ、チップ体積全体の画像と、任意に選択された下位領域の高解像度画像の両方を生成することができる。この手法は、試料が平面であれば、どんな画像化問題にも応用することができる。
Article: 共形付加スタンプ印刷法を用いて作り出される三次元の湾曲した電子装置
Three-dimensional curvy electronics created using conformal additive stamp printing
doi: 10.1038/s41928-019-0304-4
変形可能なバルーンのスタンプを用いて、予め製造された電子デバイスを拾い上げ、それを三次元表面に印刷するという製造技術を使用して、電気的に小形のアンテナ、半球形の太陽電池、スマートコンタクトレンズなど、湾曲した形状をもつデバイスを作り出すことができる。
Article: メムリスタを用いたリザバーコンピューティングシステムを使用した時系列データの分類および予測
Temporal data classification and forecasting using a memristor-based reservoir computing system
doi: 10.1038/s41928-019-0313-3
タングステン酸化物のダイナミックメムリスタを用いたリザバーコンピューターシステムを使用して時系列分析を遂行し、部分入力とカオス系予測にもとづく孤立数字音声認識を実証する。
Perspective: ファンデルワールス薄膜エレクトロニクス
Van der Waals thin-film electronics
doi: 10.1038/s41928-019-0301-7
今月号のPerspectiveでは、溶液工程で作製できるファンデルワールス薄膜の開発について取り上げ、大面積のウェアラブル電子回路での応用に向けた潜在能力や、実用的なデバイスを提供する際に直面する課題について検証する。
Article: 反強磁性的な磁化結合を有するフェリ磁性体の磁壁運動に対するスピン移行トルク
Spin-transfer torques for domain wall motion in antiferromagnetically coupled ferrimagnets
doi: 10.1038/s41928-019-0303-5
反強磁性的な磁化結合をもつフェリ磁性体における非断熱スピン移行トルクは交替磁場のように作用し、効率的な磁壁運動を生じさせる。
Article: 錘を付けて懸架したグラフェンリボンをトランスデューサーとする超小型ナノ電気機械加速度計
Graphene ribbons with suspended masses as transducers in ultra-small nanoelectromechanical accelerometers
doi: 10.1038/s41928-019-0287-1
シリコンの錘を付けて懸架した二層グラフェンリボンを使って、ダイ面積が従来型の最先端シリコン加速度計より二桁以上小さいナノ電気機械システム(NEMS)向けトランスデューサーを製作することができる。
Article: シリコンカーバイドのウェーハ上に作製されたナノスケール真空チャネルトランジスター
Nanoscale vacuum channel transistors fabricated on silicon carbide wafers
doi: 10.1038/s41928-019-0289-z
縦型のサラウンド・ゲート構造をもつナノスケール真空チャネルトランジスターを、従来型の集積回路加工技術を使って150mmシリコンカーバイドウェーハ上に作製することができる。
Article: ゲート長14nmのIII-V 族トランジスターを用いたキャパシターレス・ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ
Capacitor-less dynamic random access memory based on a III–V transistor with a gate length of 14 nm
doi: 10.1038/s41928-019-0282-6
III–V族化合物半導体のインジウムガリウムヒ素を使って製作するトランジスターだけのダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ((DRAM)セルは、ゲート長14nmまで微細化することができる。
Article: AIエッジプロセッサー向けのCMOS集積化メムリスタによる不揮発性インメモリ・コンピューティング
CMOS-integrated memristive non-volatile computing-in-memory for AI edge processors
doi: 10.1038/s41928-019-0288-0
確立された65nmファウンドリCMOSプロセスを用いて抵抗性メモリアレイを制御回路および読み出し回路と集積化した1メガビットの不揮発性インメモリ・コンピューティング・システムにより、ブール論理と積和演算向けの高いエネルギー効率と低遅延が得られる。
Perspective: 摂取型電子センサーの倫理的および法的課題
Ethical and legal issues of ingestible electronic sensors
doi: 10.1038/s41928-019-0290-6
今月号のPerspectiveは、摂取型電子センサーの鍵となり、患者、医師、ひいては社会全般に関わってくる倫理的問題について考察し、米国と欧州での法規制の比較分析を行う。
Review Article: 例外点に固定された無線システムを用いた体内埋め込み型マイクロセンサーの高感度読み出し
Sensitive readout of implantable microsensors using a wireless system locked to an exceptional point
doi: 10.1038/s41928-019-0284-4
例外点に固定された再構成可能な無線システムを使用して、インダクター/キャパシターからなるin vivoマイクロセンサーを、従来の読み出しスキームの限界の3.2倍の感度で応答させることができる。
Article: 細胞内神経信号記録向けの小型化されたマルチクランプCMOS増幅器
A miniaturized multi-clamp CMOS amplifier for intracellular neural recording
doi: 10.1038/s41928-019-0285-3
商用の相補型金属酸化物半導体(CMOS)プロセスで製造された集積回路増幅器により、商用の卓上装置を上回る性能で、電圧と電流の両方を記録することができる。
Article: 心電図を記録するウルトラフレキシブル有機差動増幅器
An ultraflexible organic differential amplifier for recording electrocardiograms
doi: 10.1038/s41928-019-0283-5
厚さわずか2 μmで、人間の皮膚にぴったり沿わせることができるウルトラフレキシブル有機差動増幅器を使用して、34 dBの信号・ノイズ比(S/N比)で心電図を記録することができる。
Article: 伸縮可能な受動タグを用いた無線ボディーエリア・センサー・ネットワーク
A wireless body area sensor network based on stretchable passive tags
doi: 10.1038/s41928-019-0286-2
皮膚に貼れる伸縮可能な無線センサータグと、非従来型の無線周波数識別設計を用いて布地に取り付けられるフレキシブル読み出し回路を一体化することにより、人間の心拍、呼吸、および身体の動きを連続的に分析できるボディーエリア・センサー・ネットワークを製作することができる。
Review Article: 低消費電力エレクトロニクス向けの二次元スピントロニクス
Two-dimensional spintronics for low-power electronics
doi: 10.1038/s41928-019-0273-7
今月号のReview Articleでは、低消費電力エレクトロニクスに向けた二次元スピントロニクスの開発について取り上げ、実現可能性のあるデバイスや回路について考察し、実際的な応用を提供するうえで直面する課題を探る。
Article: 窒素-空孔中心を用いたCMOS集積量子センサー
A CMOS-integrated quantum sensor based on nitrogen–vacancy centres
doi: 10.1038/s41928-019-0275-5
相補型金属酸化物半導体(CMOS)技術を、窒素–空孔を用いる量子センシングと一体化することにより、量子磁気測定と温度測定向けのコンパクトなプラットフォームを作り出すことができる。
Article: 効率的な積和演算を可能にする完全集積化リプログラマブル・メムリスター-CMOS系
A fully integrated reprogrammable memristor–CMOS system for efficient multiply–accumulate operations
doi: 10.1038/s41928-019-0270-x
アナログおよびデジタル部品やオンチッププロセッサーと集積化した受動メムリスター・クロスバー・アレイを用いたプログラマブル・ニューロモーフィック計算チップは、ニューロモーフィックアルゴリズムと機械学習アルゴリズムの実装を可能にする。
Article: 高い発電容量を有するシリコン集積回路熱電発電素子
Silicon integrated circuit thermoelectric generators with a high specific power generation capacity
doi: 10.1038/s41928-019-0271-9
ナノ構造化シリコン・サーモパイルを用いた熱電発電素子を、シリコンCMOSプロセス生産ライン上で製造することで、集積回路技術との両立性が得られ、室温近くで29 μW cm-2K-2に達する高い発電容量を発揮させることができる。
Article: トンネリングを用いた三値金属酸化物半導体技術
Tunnelling-based ternary metal–oxide–semiconductor technology
doi: 10.1038/s41928-019-0272-8
量子力学的なバンド間トンネリングを利用し、相補型金属酸化物半導体(CMOS)プロセスを用いて、ウェーハ規模で製造可能なエネルギー効率の良い三値論理技術を生み出すことができる。
Perspective: 先端ナノエレクトロニクス向け走査型プローブ顕微鏡法
Scanning probe microscopy for advanced nanoelectronics
doi: 10.1038/s41928-019-0264-8
今週号のPerspectiveでは、ナノエレクトロニクス開発における電流計測原子間力顕微鏡の潜在的な役割を検証し、考えられる評価戦略、この技術向けに強化されたエレクトロニクス、そして改良されたマルチプローブの手法を探る。
Article: 二次元電界効果トランジスター向け超薄膜フッ化カルシウム絶縁体
Ultrathin calcium fluoride insulators for two-dimensional field-effect transistors
doi: 10.1038/s41928-019-0256-8
2D半導体と擬ファンデルワールス界面を形成する2nm厚のCaF2をゲート絶縁体に使って、高性能MoS2トランジスターを作り出すことができた。
Article: 量子デバイスの高周波読み出し用のCMOSダイナミックランダムアクセスアーキテクチャー
A CMOS dynamic random access architecture for radio-frequency readout of quantum devices
doi: 10.1038/s41928-019-0259-5
1トランジスター1キャパシターのダイナミックランダムアクセスメモリに着想を得た、CMOS電界効果トランジスターと量子ドットからなる量子デバイス用の読み出しスキームは、1キュービット当たりの入力線の数を減らし、大規模デバイスアレイをアドレス指定することができるかもしれない。
Article: メタマテリアル織物を用いた無線ボディセンサーネットワーク
Wireless body sensor networks based on metamaterial textiles
doi: 10.1038/s41928-019-0257-7
高周波通信周波数で表面プラズモン様モードを示す導電性布を使用することで、エネルギー効率がよくセキュリティーに優れた無線ボディセンサーネットワークを作り出すことができる。
Article: 接触のないレーダーセンサーを使用した複数人のバイタルサインのモニタリングおよび空間追跡
Vital-sign monitoring and spatial tracking of multiple people using a contactless radar-based sensor
doi: 10.1038/s41928-019-0258-6
レーダーセンサーを利用して、実世界環境における複数人のバイタルサインである心拍や呼吸を個別にモニタリングしつつ、活発に動いている個々人を追跡することができる。
Article: 磁性絶縁体と重金属から構成されたヘテロ構造における室温以上でのトポロジカルホール効果
Topological Hall effect at above room temperature in heterostructures composed of a magnetic insulator and a heavy metal
doi: 10.1038/s41928-019-0246-x
ツリウム鉄ガーネットと白金から構成された二層ヘテロ構造において、室温以上でのトポロジカルホール効果が観測され、界面でのジャロシンスキー-守谷相互作用を通じた、磁性絶縁体におけるスキルミオンの形成が示唆される。
Article: 理想的な二次元トランジスター向けのプラットホームとしての転写されたビアコンタクト
Transferred via contacts as a platform for ideal two-dimensional transistors
doi: 10.1038/s41928-019-0245-y
金属を埋め込んだ六方晶系窒化ホウ素からなる、転写されたビアコンタクトを使用して、ほぼ理想的なデバイス特性を有する二層WSe2電界効果トランジスターを作り出すことができる。
Article: 単位面積当たりの質量密度が小さい柔軟なフェーズドアレイシステム
A flexible phased array system with low areal mass density
doi: 10.1038/s41928-019-0247-9
CMOS系集積回路を、柔軟で折りたたみ可能な放射構造体と組み合わせることで、単位面積当たりの質量密度がわずか0.1 g cm-2というスケーラブルなフェーズドアレイ構成を作製することができる。
Review Article: 自己修復するソフトエレクトロニクス
Self-healing soft electronics
doi: 10.1038/s41928-019-0235-0
今月号のReview Articleでは、自己修復する電子材料およびデバイスの開発について考察し、応用の可能性を探り、実用的なシステムを提供する上で克服しなければならない課題について検討する。
Article: パルス工学の手法によりシリコンキュービットの忠実度がインコヒーレントなノイズ限界に近づく
Silicon qubit fidelities approaching incoherent noise limits via pulse engineering
doi: 10.1038/s41928-019-0234-1
パルス工学の手法を利用すると、シリコン量子ドットスピンキュービットの平均クリフォードゲート誤り率を0.043%まで低減させることができ、最新のシリコンデバイスと比較すると3倍の向上となる。
Article: 2次元ファンデルワールスヘテロ構造を用いたスピントンネル電界効果トランジスター
Spin tunnel field-effect transistors based on two-dimensional van der Waals heterostructures
doi: 10.1038/s41928-019-0232-3
デュアルゲートで制御されるグラフェン/CrI3/グラフェンのトンネル接合を用いて、スピン依存出力を電圧で制御反転可能なトンネル電界効果トランジスターを製作できる。
Article: 二次元電子部品の合成および集積化の同時遂行
Simultaneous synthesis and integration of two-dimensional electronic components
doi: 10.1038/s41928-019-0233-2
二次元MoTe2からなる電子部品を単一ステップで化学的に合成して集積化し、活性層中の各部品が共有結合により接続されたデバイスを作り出すことができる。
Article: 増強された交換結合に起因するドープされた共役ポリマー中の長いスピン拡散長
Long spin diffusion lengths in doped conjugated polymers due to enhanced exchange coupling
doi: 10.1038/s41928-019-0222-5
横型スピンポンピングデバイスのアーキテクチャーを用いた測定結果は、充分に高いスピン密度を有する共役ポリマー系において、1 μm以上という長いスピン拡散長が可能であることを示唆する。
Article: 大規模並列データ探索用にMoS2トランジスターを用いた三値連想メモリ
Ternary content-addressable memory with MoS2 transistors for massively parallel data search
doi: 10.1038/s41928-019-0220-7
金属酸化物抵抗型ランダムアクセスメモリと二次元MoS2トランジスターを一体化することにより、2トランジスターに2抵抗器の三値連想メモリセルを作ることができ、これを用いて大量のデータを並列に探索できる可能性がある。
Article: アナログメムリスターアレイを用いた強化学習
Reinforcement learning with analogue memristor arrays
doi: 10.1038/s41928-019-0221-6
並列でエネルギー効率の高いin situ訓練のために、メムリスターアレイに基づく混成アナログデジタルプラットフォーム上に強化学習アルゴリズムを実装することができる。
Article: ハーモニック無線周波数識別システムを用いた超高分解能の無線測距
Radio ranging with ultrahigh resolution using a harmonic radio-frequency identification system
doi: 10.1038/s41928-019-0219-0
1GHzのハーモニック無線周波数識別システムにより、1kHz以上の高いサンプリングレートで50μm以下の高い測距分解能が得られる。
Article: 単層半導体中で誘電体により画定される横方向ヘテロ接合
A dielectric-defined lateral heterojunction in a monolayer semiconductor
doi: 10.1038/s41928-019-0207-4
アモルファスのフッ素ポリマーの区画と六方晶窒化ホウ素の区画からなる基板を使うことで、均一なMoS2単層中にダイオードに似た電子輸送を示す横方向ヘテロ接合を作ることができる。
Article: 電子により動作し高度に均一なスイッチングが可能なシリコン系メムリスタ
An electronic silicon-based memristor with a high switching uniformity
doi: 10.1038/s41928-019-0204-7
酸素か窒素をドープし金属電極で挟んだアモルファスシリコン組成物を使用して、純粋に電子により動作し、高速で、均一で、持続性があり、複数状態をとり、低消費電力のスイッチングが可能なメムリスタを作成できる。
Article: 水中環境向けの自己修復する電子皮膚
Self-healing electronic skins for aquatic environments
doi: 10.1038/s41928-019-0206-5
エラストマーとイオン液体からなる透明な電子皮膚は、イオン–双極子相互作用により、乾燥環境と湿潤環境の両方で自律的に自己修復することができる。
Article: 熱ナノリソグラフィを用いてショットキー障壁が非常に低い金属コンタクトを単層MoS2上にパターン形成する
Patterning metal contacts on monolayer MoS2 with vanishing Schottky barriers using thermal nanolithography
doi: 10.1038/s41928-018-0191-0
熱走査プローブリソグラフィを用いて単層MoS2と直接接触する金属電極をパターン形成し、電界効果トランジスターを作成したところ、そのショットキー障壁高さは非常に低く、オンオフ比は1010と高く、ヒステリシスがなく、サブスレッショルドスイングは64mV/decadeと低かった。
Article: 振動による環境発電、ロボットインターフェイス、および生体医用インプラントに向けた三次元圧電ポリマーマイクロシステム
Three-dimensional piezoelectric polymer microsystems for vibrational energy harvesting, robotic interfaces and biomedical implants
doi: 10.1038/s41928-018-0189-7
非線形座屈過程を用いて圧電ポリマーの薄膜を精緻な3D圧電マイクロシステムに変換することができ、これは、環境発電、多機能センシング、および生体融合デバイスへの応用が期待できる。
Article: 調整された乱雑さを有する乱れた環境においてダイバーシティを最適化した通信チャネル
Optimally diverse communication channels in disordered environments with tuned randomness
doi: 10.1038/s41928-018-0190-1
再構成可能なメタサーフェスを使用して無線通信チャネルに完全な直交性を課し、その伝搬環境の乱れを調整することができる。
Review Article: テラヘルツ集積電子系とハイブリッド電子フォトニック系
Terahertz integrated electronic and hybrid electronic–photonic systems
doi: 10.1038/s41928-018-0173-2
今月号のReview Articleでは、テラヘルツ集積電子系とハイブリッド電子フォトニック系の発展について、通信、センシング、撮像への応用に重要な機能性をもたらすことが期待されるものを中心に検討する。
Article: 原子状シリコンによるバイナリ論理
Binary atomic silicon logic
doi: 10.1038/s41928-018-0180-3
水素で終端させたシリコン表面上のダングリングボンドをパターニングすることにより、バイナリワイヤやORゲートなどの初歩的な回路素子を形成することができる。
Article: プラズモニクスとナノエレクトロニクスの3次元集積化
Three-dimensional integration of plasmonics and nanoelectronics
doi: 10.1038/s41928-018-0176-z
スロットアンテナとカーボンナノチューブを使った3次元集積回路によりプラズモニクスとエレクトロニクスを組み合わせることができ、この回路を利用して単方向受信機と波長分割および偏波分割多重通信を実現することができる。
Article: 電池不要で神経科学研究のための多モード操作ができる完全に埋め込み可能なオプトエレクトロニクス系
Fully implantable optoelectronic systems for battery-free, multimodal operation in neuroscience research
doi: 10.1038/s41928-018-0175-0
低消費電力で動作し、位置や角度によらない無線環境発電を使用するオプトエレクトロニクスプラットフォームは、光遺伝学的刺激パラメータの多モードでプログラム可能な制御を実現する。
Article: 磁場を用いずスピン–軌道トルクとスピン–輸送トルクの相互作用を利用する垂直磁気トンネル接合のスイッチング
Field-free switching of a perpendicular magnetic tunnel junction through the interplay of spin–orbit and spin-transfer torques
doi: 10.1038/s41928-018-0160-7
スピン–軌道トルクとスピン–輸送トルクの相互作用を利用することで、外部磁場を用いずに垂直磁気トンネル接合の磁気スイッチングを行う低消費電力の方法を開発できる。
Article: 地球磁場により駆動される人工磁覚用の電子皮膚コンパスと対話型デバイス
Electronic-skin compasses for geomagnetic field-driven artificial magnetoreception and interactive electronics
doi: 10.1038/s41928-018-0161-6
異方的磁気抵抗効果を利用し、ホイートストンブリッジ状に配置した磁場センサーは、人間に人工磁覚を持たせ、屋外環境で自分の向きを知ることやバーチャルリアリティにおいて対象を操作することを可能にする。
Article: フレキシブルな電荷結合素子を利用した高感度ウェアラブルpHセンサー
A wearable pH sensor with high sensitivity based on a flexible charge-coupled device
doi: 10.1038/s41928-018-0162-5
フレキシブルな電荷結合素子からpHセンサーを作り、温度センサーとともに集積することで、人間の汗のpHと皮膚温度の常時モニタリングすることができる。
Review Article: 次世代半導体デバイスの計測
Metrology for the next generation of semiconductor devices
doi: 10.1038/s41928-018-0150-9
今月号のReview Articleでは、集積回路の最先端の計測法を検証し、新規集積回路デバイスの設計および業界からの要望が、リソグラフィーの選択肢や、その結果としての計測に対する要望にいかに影響を及ぼすかに焦点を当てる。
Article: メムリスタ・クロスバーに基づく証明可能なキー破棄スキーム
A provable key destruction scheme based on memristive crossbar arrays
doi: 10.1038/s41928-018-0146-5
トランジスタとともに集積化された酸化ハフニウムのメムリスタ・クロスバー・アレイは、証明可能なキー破棄スキームを可能にする。このスキームでは、隣接するメムリスタのコンダクタンスの比較によって唯一の物理的フィンガープリントが抽出され、このフィンガープリントは同じアレイ上に記憶されたデジタルキーが消去される場合にのみ明らかになる。
Article: 高速な応答時間と高いデバイス信頼性を有する集積化マイクロ熱電クーラー
Integrated microthermoelectric coolers with rapid response time and high device reliability
doi: 10.1038/s41928-018-0148-3
自立構造をとる最上部コンタクトの設計により、マイクロ熱電クーラーにおける熱機械応力を低減させることができ、これにより信頼性と冷却安定性が向上する。
Article: 7nm級FinFET技術と将来の半導体技術に向けたブロックコポリマーの自己組織化
Directed self-assembly of block copolymers for 7 nanometre FinFET technology and beyond
doi: 10.1038/s41928-018-0147-4
7nmノードのFinFETの製造における誘導自己組織化法と従来のパターン形成法の使用を比較すると、同等のデバイス性能を示しており、誘導自己組織化法は将来の半導体技術ノード向けに単純化されたパターン形成技術となる可能性があることが示唆される。
Article : in situ量子センサーを用いて半導体デバイス中のバンドの曲がりを空間的にマッピングする
Spatial mapping of band bending in semiconductor devices using in situ quantum sensors
doi: 10.1038/s41928-018-0130-0
窒素空孔欠陥をin situ量子センサーとして使い、水素終端したダイヤモンド表面に基づく電子デバイス中の電場をマッピングすることができる。
Article: 二端子スピン軌道トルク磁気抵抗ランダムアクセスメモリ
Two-terminal spin–orbit torque magnetoresistive random access memory
doi: 10.1038/s41928-018-0131-z
二端子磁気抵抗ランダムアクセスメモリセルにおけるスピン軌道トルクを使ったスイッチングにより、同等なスピン注入トルクデバイスと比較して書き込み電流の限界を70%以上低減することができる。
Article: 走査型の光学プローブを使って二次元半導体上にモノリシック集積回路を描画する
Writing monolithic integrated circuits on a two-dimensional semiconductor with a scanning light probe
doi: 10.1038/s41928-018-0129-6
レーザーを使い、二テルル化モリブデンの二次元チャネルを局所的にドープして、n型ドープしたチャネルとp型ドープしたチャネルを同一の原子面内に組み込み、n–p–nバイポーラ接合トランジスタ増幅器とラジアルp–n太陽電池を作製することができる。
Perspective: エレクトロニクスにおけるハイパースケーリングの時代
The era of hyper-scaling in electronics
doi: 10.1038/s41928-018-0117-x
エレクトロニクスはいよいよハイパースケーリングの時代を迎えようとしている。新しいスケーリングの時代への動きを後押ししているのは、ビヨンド・ボルツマン(beyond-Boltzmann)トランジスター、混載型不揮発性メモリ、モノリシックな三次元集積化、ヘテロ集積化技術の進歩である。
Article: スピン–軌道トルク下でのスキルミオンと反スキルミオンの力学におけるトロコイド運動と対生成
Trochoidal motion and pair generation in skyrmion and antiskyrmion dynamics under spin–orbit torques
doi: 10.1038/s41928-018-0114-0
原子スピンのシミュレーション、換算変数モデリング、機械学習アルゴリズムの組み合わせを用いてスキルミオンと反スキルミオンの力学を調べることにより、電流誘起されたスピン–軌道トルクが、トロコイド運動とスキルミオン–反スキルミオン対生成の原因となり得ることが示される。
Article: 層状の二次元材料から作られた電子シナプス
Electronic synapses made of layered two-dimensional materials
doi: 10.1038/s41928-018-0118-9
層状の二次元六方晶系窒化ホウ素を用いて、縦方向に構造を持ち、短期および長期の可塑性を示す電子シナプスを作り出すことができる。
Article: メムリスタの抵抗比を用いた抵抗変化型ランダムアクセスメモリ
Resistive random-access memory based on ratioed memristors
doi: 10.1038/s41928-018-0115-z
メムリスタ・クロスバー・アレイにおけるデバイス間およびサイクル間の変動やリークは、単一のメムリスタの絶対抵抗ではなく二つのメムリスタの抵抗の比を使用して情報をエンコードするというメモリセル設計により緩和することができる。
Article: 三次元集積ストレッチャブル・エレクトロニクス
Three-dimensional integrated stretchable electronics
doi: 10.1038/s41928-018-0116-y
材料設計における戦略を進歩した微細加工と組み合わせて、三次元集積ストレッチャブル・エレクトロニクスデバイスを作り出すことができる。デバイスにはブルートゥース通信能力を備えた8チャネルの検知系が含まれ、人体から一連の信号を取り出すことができる。
Review Article: 神経形態学的コンピューティング向けの有機エレクトロニクス
Organic electronics for neuromorphic computing
doi: 10.1038/s41928-018-0103-3
今月号のReview Articleでは神経形態学的有機デバイスの開発について概説し、このデバイスで使用される様々なスイッチング機構や、神経形態学的コンピューティングへの応用の際に直面する課題について考察する。
Article: 電場制御されたスピン–軌道トルクに基づく相補型論理回路動作
Complementary logic operation based on electric-field controlled spin–orbit torques
doi: 10.1038/s41928-018-0099-8
電圧磁気異方性効果の調整可能な極性を利用してn型とp型のスピン論理デバイスを作製し、これらのデバイスから、スピン–軌道トルクに基づいた相補型論理デバイスをつくることができる。
Article: 超高感度光検出器向けの単結晶層状金属ハライドペロフスカイトのナノワイヤー
Single-crystalline layered metal-halide perovskite nanowires for ultrasensitive photodetectors
doi: 10.1038/s41928-018-0101-5
層状金属ハライドペロフスカイトの単結晶ナノワイヤーアレイからつくられた光検出器は、7☓1015jonesを上回る検出能力を示す。これは、結晶内部の高い抵抗と結晶のエッジでの高い伝導度が組み合わされたナノワイヤー構造に起因するものである。
Article: 一般的なメムリスターに基づく偏微分方程式ソルバー
A general memristor-based partial differential equation solver
doi: 10.1038/s41928-018-0100-6
酸化タンタルのメムリスター・クロスバーを使用した、メムリスターに基づくハードウェアおよびソフトウェア系を用いて、静的で時間発展する偏微分方程式を高精度に解き、アルゴンプラズマ反応器のシミュレーションを行うことができる。
Article: サブテラヘルツ回転分光学に基づくオンチップの完全に電子的な分子時計
An on-chip fully electronic molecular clock based on sub-terahertz rotational spectroscopy
doi: 10.1038/s41928-018-0102-4
極性分子のサブテラヘルツ回転遷移を周波数基準として利用して、低コストで低消費電力の小型時計をつくることができる。
Review Article: 抵抗スイッチング・デバイスを用いたインメモリ・コンピューティング
In-memory computing with resistive switching devices
doi: 10.1038/s41928-018-0092-2
今月号のReview Articleでは、抵抗スイッチング・デバイスを用いたインメモリ・コンピューティングの進歩について考察する。
Article: 三臭化クロムを用いたファンデルワールス・ヘテロ構造におけるマグノン・アシスト・トンネリング
Magnon-assisted tunnelling in van der Waals heterostructures based on CrBr3
doi: 10.1038/s41928-018-0087-z
電子はマグノンを放出することにより、グラフェン電極で挟まれた強磁性CrBr3の薄い障壁を通ってトンネリングできることから、こうした磁気トンネル障壁をスピン注入に利用できる可能性が示唆される。
Article: 界面のスピン–軌道場の電場制御
Electric-field control of interfacial spin–orbit fields
doi: 10.1038/s41928-018-0085-1
Fe/GaAs(001)界面で電流により誘起されるスピン–軌道磁場は、ショットキー障壁中の電場により制御することができる。この効果を用いて低消費電力スピン–軌道トルク・デバイスを開発できる可能性がある。
Article: 非対称ファンデルワールス・ヘテロ構造を用いた高性能多機能デバイス
High-performance, multifunctional devices based on asymmetric van der Waals heterostructures
doi: 10.1038/s41928-018-0086-0
グラフェン、六方晶系窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二テルル化モリブデンから構成される非対称ファンデルワールス・ヘテロ構造デバイスは、高性能のダイオード、トランジスタ、光検出器、プログラマブル整流器として機能させることができる。
Article: トポロジカルに保護された渦構造を利用した高リニアレンジをもつ低ノイズ磁気センサ
Topologically protected vortex structures for low-noise magnetic sensors with high linear range
doi: 10.1038/s41928-018-0084-2
トランスデューサ素子中にトポロジカルに保護された渦状態をもつ巨大磁気抵抗センサは、低磁気ノイズ、高リニアレンジ領域、極小のヒステリシスを実現する。
Review Article: ナノイオニクスデバイスにおけるメムリスタのスイッチングを調べる
Probing memristive switching in nanoionic devices
doi: 10.1038/s41928-018-0069-1
今回のReview Articleでは、ナノイオニクスデバイスにおけるメムリスタのスイッチングの特性評価に使用される様々な技術を評価し、それぞれの技術の相対的な強みと弱みに基づき、ナノイオニクスデバイスの特性評価の一般的な枠組みを提案する。
Article: 時間分解X線顕微鏡法により直接観測された単一の磁気スキルミオンの決定論的な生成と消去
Deterministic creation and deletion of a single magnetic skyrmion observed by direct time-resolved X-ray microscopy
doi: 10.1038/s41928-018-0070-8
技術的に適切なストリップライン配置を有する磁気デバイスにおいて、単一の孤立した磁気スキルミオンを室温で電気的に書き込み消去することができ、その過程は、時間分解X線ポンププローブ測定法を用いて直接観測することができる。
Article: センサーテレメトリーの向上に向けて一般化されたパリティ- – 時間対称条件
Generalized parity–time symmetry condition for enhanced sensor telemetry
doi: 10.1038/s41928-018-0072-6
一般化されたパリティ- – 時間対称なテレメトリックセンシング技術を利用したワイヤレスセンサーは、従来の受動センサーと比較して、より微細なスペクトル分解能と高感度の周波数応答を発揮する。
Article: 三次元的に巻き上がったメンブレンのプラットホームを用いた三次元高周波変圧器
Three-dimensional radio-frequency transformers based on a self-rolled-up membrane platform
doi: 10.1038/s41928-018-0073-5
三次元的に巻き上がったコイルからなるオンチップ高周波変圧器は、高性能と極小のデバイス面積の両方を実現する。
Article: 伸縮自在で生体内で分解する整形外科用途向けの応力圧力センサー
A stretchable and biodegradable strain and pressure sensor for orthopaedic application
doi: 10.1038/s41928-018-0071-7
生物分解性材料を使った埋め込み可能な圧力応力センサーは、使用寿命が尽きたのちに自然に分解されるように設計されているため、外科的に摘出する必要がない。
Perspective: ディープニューラルネットワークに向けたエッジインターフェースのスケーリング
Scaling for edge inference of deep neural networks
doi: 10.1038/s41928-018-0059-3
今回の「Perspective」では、エッジインターフェースが求められる状況において、ますます大規模化するディープニューラルネットワークに必要な計算の複雑性やエネルギー効率と、現状のCMOS技術のスケーリングにより実現可能なハードウェア容量との間にあるギャップに焦点を当てる。また、こうしたギャップを埋めるのに役立つ可能性のある各種のアーキテクチャやアルゴリズムの技術革新についても議論する。
Article: 非弾性クーパー対トンネリングに由来する量子限界近傍での増幅
Near-quantum-limited amplification from inelastic Cooper-pair tunnelling
doi: 10.1038/s41928-018-0055-7
マイクロ波放射と、電圧バイアスしたジョゼフソン接合を横切る非弾性クーパー対トンネリングとの相互作用を用いることにより、DCで動作するマイクロ波増幅器が量子ノイズ限界に近づいた。
Article: 溶液成長させた二次元テルレンから作製した電界効果トランジスタ
Field-effect transistors made from solution-grown two-dimensional tellurene
doi: 10.1038/s41928-018-0058-4
基材を用いない溶液工程により、大面積の二次元テルル結晶を作りだすことができる。この結晶を用いて構築した電界効果トランジスタは、室温の空気中で2か月以上にわたって安定な状態を示し、オン電流密度は1 A mm–1と高い。
Article: 生体表面に転写できる低消費電力カーボンナノチューブ集積回路
Low-power carbon nanotube-based integrated circuits that can be transferred to biological surfaces
doi: 10.1038/s41928-018-0056-6
カーボンナノチューブを用いた薄膜トランジスタと集積回路は、消費電力が小さく、性能は極めて均質で、生分解性ポリマー、植物の葉、ヒトの手首など、任意の基材に転写することができる。
Article: インメモリ演算における混合精度
Mixed-precision in-memory computing
doi: 10.1038/s41928-018-0054-8
フォンノイマン機械を計算メモリユニットと組み合わせたハイブリッドシステムは、デジタル計算の高い精度とインメモリ計算のエネルギー/面積効率性の両方を実現することができ、このことは、5,000個の方程式からなる系を998,752個の相変化メモリデバイスを用いて正確に解くという例で例証される。
Article: 次世代ホログラフィックイメージング向けの高性能並列演算
High-performance parallel computing for next-generation holographic imaging
doi: 10.1038/s41928-018-0057-5
8個の大規模フィールド・プログラマブル・ゲートアレイを組み合わせたホログラフィ専用計算ボードを開発して、ビデオフレームレートで更新する108画素のホログラムを生成することに成功した。
Review Article: ウェアラブルな発汗センサー
Wearable sweat sensors
doi: 10.1038/s41928-018-0043-y
今週号のReview Articleでは、ウェアラブルな発汗センサーの開発について検証し、個別化医療との関係でそうした技術が直面する課題と成功の見込みについて考察する。
Article: 非共線的な反磁性体における室温以上でのトポロジカルな異常ホール効果の電気的スイッチング
Electrical switching of the topological anomalous Hall effect in a non-collinear antiferromagnet above room temperature
doi: 10.1038/s41928-018-0040-1
非共線的な反磁性体Mn3Ptの高品質エピタキシャル薄膜で観測される異常ホール効果は、電場を用いてオンオフの切り替えができる。
Article: 非線形回路アレイにおける自己誘導されたトポロジカル保護
Self-induced topological protection in nonlinear circuit arrays
doi: 10.1038/s41928-018-0042-z
非線形回路アレイは入力強度の関数として自己誘導されたトポロジカル転移を生じ、欠陥と乱れに対するトポロジカルな保護を示す。
Article: カーボン・ナノチューブ・トランジスタを用いた伸縮可能な温度検知回路における応力の影響の抑制
Stretchable temperature-sensing circuits with strain suppression based on carbon nanotube transistors
doi: 10.1038/s41928-018-0041-0
カーボン・ナノチューブ・トランジスタを用いて設計できる伸縮可能な温度検知回路は、応力依存の誤差を抑制し、0~60%の一軸性応力の範囲内で±1℃の測定の不正確さを達成する。
Article: 1段あたりの遅延が10ns以下であるフレキシブルなカーボン・ナノチューブCMOS集積回路
Flexible CMOS integrated circuits based on carbon nanotubes with sub-10 ns stage delays
doi: 10.1038/s41928-018-0038-8
高性能カーボン・ナノチューブ薄膜トランジスタと相補回路をフレキシブル基板上に作製することができ、1段あたりの遅延がわずか5.7nsのリング共振器などを作製できる。
Article: 集積メムリスタにおけるアナログ状態と非線形コンダクタンスのばらつきが可能にするハードウェア固有のセキュリティ・プリミティブ
Hardware-intrinsic security primitives enabled by analogue state and nonlinear conductance variations in integrated memristors
doi: 10.1038/s41928-018-0039-7
メムリスタの非線形でアナログ的な調整特性を利用することにより、集積メムリスティブ・クロスバー回路を用いてロバストなセキュリティ・ブリミティブを作製することができる。
Review Article: コードレス化するソフトロボティクス
Untethered soft robotics
doi: 10.1038/s41928-018-0024-1
今月号のReview Articleでは、テザーのない機能性ソフトロボティクスの発展について考察し、テザーのないシステムとの関連から、ソフトロボティクスの駆動、センシング、統合化研究の最近の進展を評価する。
Article: 非線形共鳴の結合を用いるブロードバンド・パッシブ・アイソレータ
Broadband passive isolators based on coupled nonlinear resonances
doi: 10.1038/s41928-018-0025-0
ファノ型とローレンツ型の非線形共振器を組み合わせ、適切に設計した伝送線によって分離することで、ユニタリ伝送、無限大のアイソレーション、大きな非相反的強度範囲を実現するパッシブアイソレータをつくりだすことができる。
Article: スピン異常ホール効果により誘起されたスピン移行トルク
Spin-transfer torque induced by the spin anomalous Hall effect
doi: 10.1038/s41928-018-0026-z
CoFeB/Cu/NiFe三層膜の強磁性共鳴線幅における変調を測定することで、異常ホール効果によるスピンカレントの発生が観測された。
Article: ひずみ方向を検知するフレキシブルな巨大磁気抵抗デバイス
A flexible giant magnetoresistive device for sensing strain direction
doi: 10.1038/s41928-018-0022-3
ひずみに敏感な自由層とひずみへの感度のないピン止め層からなるフレキシブルな巨大磁気抵抗デバイスを用いて、材料中のひずみ方向を検出することができる。
Article: 二次元材料を積層したロバストなメムリスタ
Robust memristors based on layered two-dimensional materials
doi: 10.1038/s41928-018-0021-4
グラフェン/MoS2−xOx /グラフェンからなるファンデルワールスヘテロ構造を用いて、従来型メムリスタにはない良好な熱安定性を示すメムリスタをつくりだすことができる。
Article: すべてメムリスタで構成したニューラルネットワークによる教師なし学習を用いたパターン分類
Fully memristive neural networks for pattern classification with unsupervised learning
doi: 10.1038/s41928-018-0023-2
拡散メムリスタを用いたリーキー積分発火人工ニューロンは、パターン認識が可能で集積化された畳み込みニューラルネットワークにおいて、移流メムリスタ・シナプスの教師なしでの重み更新を可能にする。
Perspective: ムーアの法則の終焉に直面した科学と研究の方針
Science and research policy at the end of Moore’s law
doi: 10.1038/s41928-017-0005-9
現在、半導体産業は先例のない困難に直面しており、これまでのように産業界全体で研究開発を進めようという動機が損なわれ、ひいては世界の経済成長を脅かす恐れがある。従来の出資者以外がリーダーシップをとることと、公的資金の大幅に増額することが必要だ。
Perspective: メムリスタ系が切り開くエレクトロニクスの将来
The future of electronics based on memristive systems
doi: 10.1038/s41928-017-0006-8
最新のメムリスタ系エレクトロニクスを評価し、この技術が将来、オンチップ・メモリ、生物システムにヒントを得たコンピューティング、汎用インメモリ・コンピューティングの3領域に及ぼす影響を探る。
Perspective: 薄膜トランジスタを用いたフレキシブル集積回路の開発
The development of flexible integrated circuits based on thin-film transistors
doi: 10.1038/s41928-017-0008-6
低コストでフレキシブルな集積回路の開発における薄膜トランジスタ技術の可能性を論じ、今日の比較的成熟した薄膜トランジスタ技術について、その回路の潜在的用途と、集積回路の設計における意味の観点から評価を行う。
Article: カーボンナノチューブ膜を用いたギガヘルツ集積回路
Gigahertz integrated circuits based on carbon nanotube films
doi: 10.1038/s41928-017-0003-y
カーボンナノチューブ膜から作った電界効果トランジスタを使って、最大5.54GHzの発振周波数を示す5段リング発振器を作製することができた。
Article: インターカレートされたグラフェンを用いた次世代高周波エレクトロニクス向けオンチップ・インダクタ
On-chip intercalated-graphene inductors for next-generation radio frequency electronics
doi: 10.1038/s41928-017-0010-z
インターカレートされた多層グラフェンから製作したオンチップ・インダクタは、性能を低下させることなく、小さい形状因子と高いインダクタンス値を両立させることができ、超コンパクト無線通信システムの開発に適している可能性がある。
Article: 大規模メムリスタ・クロスバーによるアナログ信号と画像の処理
Analogue signal and image processing with large memristor crossbars
doi: 10.1038/s41928-017-0002-z
アレイサイズ128×64セルの大規模メムリスタ・クロスバーは、アナログベクトル行列乗算を実行する能力をもち、信号処理、画像圧縮、畳込みフィルタリングに使用できる。
Article: 3次元NANDフラッシュメモリ・デバイス中に埋もれた欠陥をナノフォトニクスにより同定する
Nanophotonic identification of defects buried in three-dimensional NAND flash memory devices
doi: 10.1038/s41928-017-0007-7
3次元NANDフラッシュメモリ・デバイスのハイパボリック・メタマテリアル構造を利用することで、その表面下深くにある欠陥を同定できる。
Article: MEMSセンサを利用して電場を歪ませることなく強度を測定
Distortion-free measurement of electric field strength with a MEMS sensor
doi: 10.1038/s41928-017-0009-5
コンパクトなMEMS(微小電気機械システム)デバイス内で静電誘導を利用して生じさせた力による変位を検出することで、電場を大きく歪ませることなく強度を測定することができる。
Article: 近接場コヒーレントセンシングを用いた多重無線によるバイタルサインのモニタリング
Monitoring vital signs over multiplexed radio by near-field coherent sensing
doi: 10.1038/s41928-017-0001-0
人の体外と体内の機械的な動きは、近接場コヒーレントセンシングを使って多重無線周波数信号に直接変調することができ、心拍数、血圧、呼吸数などのバイタルサインを、皮膚に直接触れることなくモニターすることができる。
Article: 胃腸内の様々なガスを検知できる摂取型電子カプセルのヒトでのパイロット試験
A human pilot trial of ingestible electronic capsules capable of sensing different gases in the gut
doi: 10.1038/s41928-017-0004-x
ヒトでのパイロット試験により、胃腸内の酸素、水素、二酸化炭素ガスを検知できる摂取型電子カプセルを使って、個人が摂取する食品の変化をモニターできることが実証された。
Article: 大規模メムリスタ・クロスバーによるアナログ信号と画像の処理
Analogue signal and image processing with large memristor crossbars
doi: 10.1038/s41928-017-0002-z
アレイサイズ128×64セルの大規模メムリスタ・クロスバーは、アナログベクトル行列乗算を実行する能力をもち、信号処理、画像圧縮、畳込みフィルタリングに使用できる。
Article: カーボンナノチューブ膜を用いたギガヘルツ集積回路
Gigahertz integrated circuits based on carbon nanotube films
doi: 10.1038/s41928-017-0003-y
カーボンナノチューブ膜から作った電界効果トランジスタを使って、最大5.54GHzの発振周波数を示す5段リング発振器を作製することができた。
Article: 近接場コヒーレントセンシングを用いた多重無線によるバイタルサインのモニタリング
Monitoring vital signs over multiplexed radio by near-field coherent sensing
doi: 10.1038/s41928-017-0001-0
人の体外と体内の機械的な動きは、近接場コヒーレントセンシングを使って多重無線周波数信号に直接変調することができ、心拍数、血圧、呼吸数などのバイタルサインを、皮膚に直接触れることなくモニターすることができる。