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進化:フキシャンフィア類の特殊化した付属肢と初期の真節足動物の頭部の構成

Nature 494, 7438 doi: 10.1038/nature11874

絶滅および現生真節足動物の系統関係および進化史を解明するには、頭部の構成がきわめて重要なデータとなる。カンブリア紀前期のフキシャンフィア類は、ステム群真節足動物の原始的な代表例と考えられており、したがって、その前方部分の形態は真節足動物の頭部の祖先的状態を復元するための重要な手がかりとなる。しかし、フキシャンフィア類であるFuxianhuia protensaの触角より後方にある対を成す構造については依然として議論があり、これらは「大付属肢(great appendage)」だとする解釈と腸の憩室だとする解釈が併存している。本論文では、中国雲南省の新たなカンブリア紀前期(ステージ3)化石鉱床から出土した新種Chengjiangocaris kunmingensisおよび新種Fuxianhuia xiaoshibaensisを記載報告する。両種とも、多数の標本で前背側の頭部背板(head shield)に独特の「化石化作用を受けた解剖学的構造」が認められ、頭部の詳細な構成が明らかになった。フキシャンフィア類の頭部には1対の特殊化した触角後付属肢(specialized post-antennal appendage;SPA)が存在することが示され、これらは、後ろ向きの口の左右、口下片(hypostome)の後方に付属している。保存された機能的関節は、明確に規定された限定的な肢の可動範囲を示し、単純な種類の掃き集め型採餌を行っていたことを示唆している。フキシャンフィア類のSPAの構成は、大付属肢類(megacheiran)が持つ(中大脳の)前部の肉食用付属肢とは適合せず、フキシャンフィア類の前大脳肢の存在とも相いれない。フキシャンフィア類の触角およびSPAの位置は、それぞれがクラウン群真節足動物の中大脳付属肢および後大脳付属肢と体節的に相同であることを示している。これらの知見は、多数の肢節を有する触角状の中大脳付属肢が、祖先的真節足動物の頭部の相似形態的特徴であることを示唆するものである。

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