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細胞:固定処理した細胞から抽出した動態によって明らかになった、細胞成長と細胞周期をつなぐフィードバック

Nature 494, 7438 doi: 10.1038/nature11897

生物学では長年にわたって、何が細胞のサイズのばらつきを制限しているのかが考察されてきたが、この分野の進歩は遅く、実験上の制約が障害となっていた。今回我々は、新たな手法としてエルゴード的速度解析(ergodic rate analysis;ERA)を報告する。この手法では、固定処理を施した定常状態の細胞集団で単一細胞を計測することにより、細胞成長の速度をはじめとする分子的事象の速度を正確に推論する。ERAは、ある特定の状態にある細胞数が、その状態を通過する平均的な経過時間と関連するという事実を利用している。この手法を用いて、例えばリン酸化タンパク質量や総細胞量など、固定した細胞で標識が可能なあらゆる特性について、全時間の軌跡を計算することができる。我々はERAを用いて、G1/S移行期に存在する「サイズ識別」過程が、細胞間のサイズのばらつきを減らす働きをしている証拠を見いだした。

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