Letter

宇宙:NGC 1365の中心部に位置する急速に回転する超大質量ブラックホール

Nature 494, 7438 doi: 10.1038/nature11938

活動銀河に観測される、中性の鉄と部分的にイオン化された鉄が放出する広いX線輝線は、降着円盤の内側の縁から離れたところでの硬X線の反射によって生成された蛍光として説明されている。このモデルでは、輝線の広がりと歪みは、ブラックホール付近の高速回転と相対論的効果から生じており、輝線の形はその回転に鋭敏である。介在する構造による吸収によって歪みが生じるとする別のモデルでも、同様にデータをうまく説明することができ、どちらが正しいのかについて一般的な合意は存在しない。銀河 NGC 1365の中心部に位置するブラックホール(太陽質量の2×106倍)が可能な最高速度近くで回転しているとする最近の説は、相対論的な反射の仮定に基づいている。本論文では、NGC 1365 のX線観測を行い、これにより、広がった鉄輝線と、10〜30 keVでの付随するコンプトン散乱の超過を通して相対論的な円盤の特徴が明らかになったことについて報告する。時間的解析と分光学的解析を用いて、時間変動する吸収による連続線の変化を反射から切り分けて、この反射が、高速回転するブラックホールの重力半径の2.5倍以内の領域から生じることを見いだした。相対論的な円盤反射を含まず吸収の支配的なモデルは、統計的にも物理学的理由からも除外することができる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度