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地球科学:頻繁に観測されていた、大地震と小地震の始まりの同一性

Nature 573, 7772 doi: 10.1038/s41586-019-1508-5

巨大地震は全て、地下の岩盤中のほぼ1点から小さな破壊として始まり、その後複雑な形をした断層構造の中を破壊すべりとして広がり、最終的に数百キロメートルに及ぶ広大な破壊すべり領域全体から強い揺れが放射される。大地震の破壊が広がっていくプロセス(成長過程)を予測できるかどうか、そして何らかの観測可能な特徴によって大地震とより小さな地震を区別できるかどうかは、地震早期警報と確率的予測の可能性に関連する根本的な疑問である。最近、大地震の地震波が、そしておそらく破壊すべり成長過程も、より小さな地震とほぼ同一である可能性があるという研究結果が報告された。そこで本論文では、日本の東北から北海道にわたる沈み込み帯で起こる地震において、大きな相互相関を特徴とするそうした類似性が頻繁に観測される特徴であることを示す。15年にわたる約10万回の地震の高感度地震計記録を系統的に比較した結果、約100 m以内に震源がある大地震(モーメントマグニチュード M > 4.5)と小地震(M < 4.0)のペアのうち、80組が極めてよく似ており、390組がよく似ていることが分かった。沈み込み型の地震の場合、大地震の多く(899回のうち170回)が極めてよく似た小地震を持ち、そうしたペアでは2つの地震の発生間隔が最大15年に及ぶこともあった。一方、その他の型の大地震は、前震と余震だけが類似していた。沈み込み型地震に頻繁に見られる大小の地震の類似性は、プレート境界に沿って存在する大規模な階層構造において繰り返し起こる連続的な破壊すべり成長過程を示唆しており、地震の最終的な大きさに対する特定的だが確率的かつ限定的な予測可能性(すなわち、地震の位置と起こり得る一連の地震の大きさはよく予測できるが、最終的な大きさは全く絞り込めないこと)を示している。

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