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免疫学:感染後の修復に重要な単球–レプチン–血管新生経路
Nature 609, 7925 doi: 10.1038/s41586-022-05044-x
炎症性単球は感染時に細菌根絶のカギになると考えられているが、これは、罹患した組織に移動するおのおのの単球に動員される好中球の数が多く、好中球の方がはるかにロバストな殺菌機能を有することとは容易に折り合いがつかない。しかし、好中球と異なり、単球には状況特異的なマクロファージに転換する能力があり、感染制御以外にも重要な役割を担っている可能性がある。今回我々は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)で覆われた異物を用いて、皮膚感染から創傷治癒までを経時的に画像化し、単球と好中球は低容量感染では同じくらいの数が誘導されるが、高容量感染ではそうではなく、単球は感染部位を取り囲むのに対して、好中球は感染部位に浸潤するという局在パターンを形成することを示す。単球は細菌の除去には関与しないが、マクロファージに転換して感染後数週間にわたって存在し続け、皮下脂肪細胞の増殖と脂質動員ホルモンであるレプチンの産生を調節する。単球を欠損したマウスが感染すると、皮下組織の持続的な肥厚とレプチンレベルの上昇が見られ、機能不全の血管系の過剰増殖と治癒の遅延が起こり、瘢痕が肥厚化した。レプチン機能に対抗するグレリンは、単球によって局所的に産生され、血管の過剰増殖を軽減し、感染後の治癒を改善した。まとめると、単球は創傷修復中にレプチンレベルと血管再生を調節することで細胞加減抵抗器として機能することが明らかになった。