Perspective
神経科学:統合的神経科学を促進する機能的神経画像技術
Nature 623, 7986 doi: 10.1038/s41586-023-06670-9
機能的磁気共鳴画像法(fMRI)により、覚醒して行動しているヒトの脳を非侵襲的に調べることができる。fMRIは、広範な認知や行動の状態にわたって全脳の信号を追跡したり、特定の形質や臨床の条件に関連した差異をマッピングしたりすることで、脳の機能とその正常な行動および非定型行動との結び付きについての理解を増進してきた。こうした前進にもかかわらず、fMRIを用いたヒト認知神経科学の進歩は、神経科学の他の亜領域における急速な進歩から比較的隔離されている。とはいえ、他の亜領域も互いに連携が不足しているきらいはある。本論文で我々は、fMRIは、システム神経科学、認知神経科学、計算神経科学、臨床神経科学といったさまざまな神経科学の下位分野を統合する格好の位置にあると主張する。我々はまず、画像化ツールとしてのfMRIの長所と短所を総括し、次いで神経科学の各亜領域でfMRIの使用に成功した例を明示する。そして将来の進歩に向けて、この統合的視点の実現に必要なロードマップを提示する。そうすることで、fMRIがいかに神経科学の学際的一貫性の新時代の先導役になり得るかを実証したい。