Nature ハイライト
Cover Story:レーザー冷却された反物質:紫外光による反水素原子の操作と冷却
Nature 592, 7852
光子を使って原子の運動を減速させるレーザー冷却は、40年前に初めて実証され、原子物理学の方法を一変させた。今回ALPHAコラボレーションは、この手法を反物質へと適用することに成功し、レーザー冷却を新たな領域へと導いている。著者たちは、CERNの反陽子減速器施設で実験を行い、磁場を用いて反水素原子を捕捉した後、専用の紫外レーザーの入念に調整したパルスを照射した。これによって原子の一部が減速して冷却されるとともに、測定された反水素原子の原子遷移の幅が狭くなった。彼らは、この手法によって、重力挙動などの反物質の基本的な性質の研究がより容易になるはずであると考えている。表紙は、反陽子と陽電子を捕捉・操作して反水素原子を作るのに使われた、金めっきされたぺニングトラップの端電極の拡大写真。
2021年4月1日号の Nature ハイライト
物性物理学:モアレグラフェンにおける相関を熱力学的に調べる
ナノスケール材料:金属の直接3Dナノ造形
材料科学:アモルファス固体の構造研究方法
生態学:温暖化は栄養段階間のエネルギー転換を減少させる
発生生物学:長鎖ノンコーディングRNAの変異が肢形成異常を引き起こす
幹細胞:短腸症候群の治療法候補としてのオルガノイド移植
植物科学:植物の2つの免疫経路間のクロストーク
コロナウイルス:SARS-CoV-2スパイク変異株はウイルス複製を増強する
がん免疫学:黒色腫での細菌由来ペプチドの提示
分子生物学:ヌクレアーゼ複合体を凝縮する