Nature ハイライト
Cover Story:生物多様性のホットスポット:海生無脊椎動物はどのように繁栄したのか
Nature 607, 7919
表紙は、インドネシアのサンゴ礁の海洋生物の印象を表現したものである。海洋の生物多様性に限界はあるのか、という疑問に対する取り組みは、一般的に化石記録を調べることで行われている。今回P Cermeñoたちは、化石記録、プレートテクトニクス、地球の環境条件を組み合わせて、海生無脊椎動物の地域的多様化に関する知見を得るモデルを提示している。著者たちは、このモデルを用いて、地球史の約5億年を占める顕生代において、大量絶滅後に生物多様性がどのように回復したか調べた。その結果、顕生代を通して、多様性が飽和状態に近づいたと思われるのは、全球の大陸地殻上の海域の2%未満であったことが見いだされた。著者たちは、パンゲア超大陸が分裂して複数の大陸ができると、地球の環境条件の安定性によって多様性のホットスポットの発展が可能になり、これが後期中生代と新生代における生物多様性の向上を後押ししたとも指摘している。
2022年7月21日号の Nature ハイライト
天文学:遠方の矮小銀河の紫外超過と星形成
量子物理学:非平衡系でのトポロジカル相の実証
ナノテクノロジー:DNAでできた回転モーター
化学:CPETメディエーターによる有用化学物質の生成効率の向上
人間行動:青年の心理的ストレスを軽減させる2つのマインドセット
神経科学:線条体回路の拮抗と協調
神経科学:成人海馬の神経発生はあるのか
植物科学:植物の受精におけるカルシウムスパイクの発生機構
発生生物学:ヒト生殖巣形成の単一細胞アトラス
幹細胞:逆行性運動が腸の幹細胞数を決める
気候変動:気候変動と土地利用の変化がもたらすウイルス異種間伝播への影響
微生物学:バクテリアルトランスロケーションの決定要因
生理学:代謝の個体差とゲノム変動を結び付ける線虫モデル
免疫学:ストレス時の神経系による白血球分布の制御
神経科学:神経再生を促す腸内細菌代謝物
細胞生物学:ミトコンドリアRNAの修飾はがんの転移を推進する
細胞生物学:染色体の核内での位置は分離異常の頻度を予示している