Nature ハイライト
Cover Story:DNAボーグ:宿主であるアーキアの代謝能を増強する大きな遺伝子エレメント
Nature 610, 7933
表紙は、J Banfieldたちが今回報告した、新種の染色体外エレメントである「Borg(ボーグ)」を解釈して描いたものである。多くの微生物は、その染色体外DNAにコードされた余分な遺伝情報を持っている。こうした染色体外エレメントは、比較的小さいプラスミドの形をしていることが多い。しかし、今回Banfieldたちは、地下水、堆積物、湿地土壌を分析して、メタン酸化アーキアのMethanoperedensに異常に大きな線状の染色体エレメントが存在することを見いだした。彼女らは、こうしたエレメントが他の生物や環境から遺伝物質を取り込むことから、これを「スター・トレック」に登場する生命体にちなんでBorgと名付けた。著者たちはさらに少なくとも19種類のBorgを特定し、それらが宿主のメタン消費を助けている可能性があると推測している。
2022年10月27日号の Nature ハイライト
気候変動の影響:気候変動の定量化されていないリスク
天体物理学:歳差運動するブラックホール連星
天体核物理学:19F(p, γ)20Ne反応の観測結果から示唆されるCNOブレイクアウトの可能性
光学技術:光時計ネットワークに向けた高精度の長距離自由空間リンク
光学技術:量子限界感度に迫る周波数コム測距
材料化学:形状を記憶するコロイド結晶
気候変動の影響:CO2の社会的コストの見直し
進化学:鰓の本来の機能はイオン調節だった
遺伝学:ヒトの身長に関連するほぼ全てのありふれたバリアント
分子生物学:RNAを利用して細胞を監視・操作する
免疫学:微生物相がT細胞分化のプログラムを方向付ける仕組み
免疫学:自然リンパ球が腸の健康を守る
免疫学:免疫寛容に関わる抗原提示細胞
免疫学:STINGシグナル伝達の終結機構
化学生物学:セレブロンの標的モチーフ
遺伝学:低酸素などのストレスによって赤血球γ-グロビン遺伝子の発現が変化する仕組み
神経科学:パーキンソン病患者の脳に蓄積したα-シヌクレイン繊維の構造
構造生物学:機械受容伝達複合体TMC-1の構造