Nature ハイライト
Cover Story:根掘り葉掘り:アフリカの乾燥地の99億本の樹木の炭素貯蔵量を明らかにしたインベントリー
Nature 615, 7950
乾燥地の生態系の樹木は炭素循環に重要な役割を果たしているが、そうした樹木の数や分布に関する詳細なデータはこれまで十分でなかった。今回C Tuckerたちは、サハラ以南のアフリカに生育する100億本近い樹木のインベントリーを提示している。彼らは、機械学習を用いて、1000万km2近い面積をカバーする高分解能衛星画像を精査した。これによって、個々の樹木のマッピングと各樹木の葉、材、根に蓄えられている炭素量の見積もりが可能になった。著者たちは、乾燥地を年間降水量に応じて4つの地域に分類し、最も乾燥した地域では個々の樹木が炭素を51 kg蓄えており、降水量が最も多い地域ではそれが98 kgまで増えることを見いだした。研究チームはまた、それぞれの樹木の材、葉、根の質量、ならびに炭素貯蔵量の自由に利用できるデータベースを作成している。
2023年3月2日号の Nature ハイライト
天文学:中性子星を取り巻く降着不安定性
物性物理学:超伝導における水素原子の役割
材料科学:無秩序性に調整されるアモルファス単層カーボンの導電性
材料科学:高温エネルギー貯蔵用の誘電性ポリマー
化学:電気化学反応器に依存するピリジンとCO2の電気化学反応
環境科学:中国のイネ生産のための最適な窒素使用量戦略
気候科学:アジアの給水塔を脅かす水蒸気の大気輸送の減少
地球科学:堆積盆地における初期N2–Heガス田の形成
生態学:水分が樹木の多様性に及ぼす間接的な影響
進化学:幼生の発生は頭から始まる
神経科学:磁気感覚の成因に新たな説
分子考古学:古代ゲノムから石器時代のヨーロッパのヒト集団を知る
幹細胞:ex vivoでのヒト造血幹細胞増幅技術
医学研究:FXRの阻害によるSARS-CoV-2感染制御の可能性
コロナウイルス:SARS-CoV-2オミクロン株の免疫回避能と弱毒化の原因
免疫学:腸を守る好酸球集団
腫瘍免疫学:免疫回避遺伝子を標的としてがん免疫療法の効果を増強する
がん:膵管腺がんでの化学療法に影響を及ぼす微生物相由来代謝物