Nature ハイライト
Cover Story:ヒトデのシステム:遺伝子パターンから明らかになった棘皮動物のボディープランの進化
Nature 623, 7987
動物の大半の体は左右対称で、一方の端に頭が、もう一方の端に尾があり、単一の対称軸が上から下へ走っている。しかし、ヒトデやウニなどの棘皮動物は異なっていて、中央の口から5本の腕が放射状に伸びるという、5回対称性を持つ。今回L Formeryたちは、この独特なボディープランがどのように進化したかを明らかにしている。著者たちは、RNAトモグラフィーを用いてイトマキヒトデ属のヒトデPatiria miniata(表紙)の遺伝子発現パターンをマッピングした。その結果、各腕の正中線に沿って頭部様の構造に関連する遺伝子が発現しており、各腕の側部に並ぶ小さな管足には尾様の構造に関連する遺伝子が発現していることが分かった。また、ヒトデには、左右対称の生物で胴体を規定している遺伝子がなかった。結果として、著者たちは、棘皮動物はほぼ頭のような動物であると示唆している。
2023年11月16日号の Nature ハイライト
天文学:赤方偏移3に位置する棒渦巻銀河
量子物理学:宇宙空間で初めて実証された量子ガス混合体
材料科学:振動応答によるメタマテリアルの特性評価
工学:3D視覚システムを用いた多材料プリンティング
太陽電池:ヘキサフルオロベンゼンによるペロブスカイト層の高品質化と太陽電池の高効率化
化学:4つの炭素鎖を持つシランの変換反応
気候科学:アジア高山域の降水レジームの変化
古生物学:脊椎動物の肩帯の咽頭起源を示す化石
神経科学:光受容体の知覚–同調分離機構
神経科学:迷いつつ問題を解く脳
神経疾患:神経変性に関連するCAGリピートRNAの修飾
社会科学:パンデミックの思い出は動機や認識によってゆがむ
ウイルス学:モルヌピラビル治療とSARS-CoV-2変異の関連性
微生物学:ファージの新たな抗CRISPR戦略
免疫学:細胞療法用の細胞中で潜伏ウイルスが目覚める時
免疫学:関節リウマチの病因の分子的層別化
がん:糖ヌクレオチドの蓄積はがん細胞での治療脆弱性の発生につながる
分子生物学:TNRC18は内在性レトロトランスポゾンのサイレンシングを行う
分子生物学:S期の複製フォークでのH3K9me3の非対称的な分配がL1を抑制する