Nature ハイライト

Cover Story:チャネルの切り替え:オルガノイドやアセンブロイドによって、ティモシー症候群の治療候補を検証するモデルが得られた

Nature 628, 8009

ティモシー症候群は、心臓の障害、自閉症、てんかんを特徴とするまれな遺伝性疾患で、変異型のCACNA1Cが原因である。この遺伝子は、カルシウムイオンチャネルをコードしている。今回S Pașcaたちは、この変異によって生じた欠陥を修正してティモシー症候群を治療できる可能性がある戦略を提示している。彼らは、変異を持つタンパク質コード配列が使われるのを減らし、他の塩基配列が使われるようにすることを目的とした、アンチセンスオリゴヌクレオチドを開発した。次に、ティモシー症候群の患者から集めた幹細胞から得た三次元(3D)組織モデル(皮質オルガノイドと前脳アセンブロイド)で、この方法を検証した。著者たちは、この方法が機能することを確かめた後、新生仔ラットの大脳皮質に皮質オルガノイドを移植し、欠陥遺伝子によって生じたカルシウムの問題とニューロンの構造的な問題がアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた治療によって修正されたことを示すことができた。表紙は、ニューロンの成長によく似た氷のパターンを、ドローンで撮影した写真である。

2024年4月25日号の Nature ハイライト

目次へ戻る

プライバシーマーク制度