Nature ハイライト

Cover Story:細胞ナビ:組織の発生と疾患の進行を記す、ヒト細胞アトラスの概要地図

Nature 635, 8039

ヒト小腸の蛍光顕微鏡画像。
ヒト小腸の蛍光顕微鏡画像。 | 拡大する

Grace Burgin, Noga Rogel & Moshe Biton, Klarman Cell Observatory, Broad Institute

ヒト細胞アトラス(HCA)イニシアチブは、全てのヒト細胞の包括的な参照マップを作製する目的で設立された。細胞は生命の基本単位であり、こうしたマップはヒトの健康の理解だけでなく、疾患の診断・観察・治療の基礎となる。今週、HCAコンソーシアムは、分析ツールと共に、いくつかの初期概要マップを、ネイチャーポートフォリオの出版誌およびGenome Biology一連の論文で発表している。Natureでは、K Toたちが、胎児の骨格形成の初期段階をマッピングして、骨形成を促進する遺伝子ネットワークを突き止め、B Zhangたちが、ヒト胚の四肢発生マップから、骨、筋肉、神経組織の分化を調節する遺伝子プログラムを明らかにしている。また、N Gopeeたちは、胎児の皮膚発生をマッピングして、毛包と血管ネットワークの形成における免疫細胞の役割を突き止めている。そして、Z Heたちは、脳オルガノイドの統合的細胞アトラスを作製し、発達中の脳を再現するオルガノイドの能力に関する洞察を得ている。さらにA Oliverたちは、消化管をマッピングしてアトラスを作製し、クローン病や潰瘍性大腸炎などの疾患に関連する細胞変化を明らかにしている。N Yayonたちによる詳細な胸腺地図は、免疫細胞の発達を追跡している。表紙の画像は、詳細な細胞地図上に地下鉄のような生物学的システムのネットワークを重ね合わせることで、HCAイニシアチブの幅広さを表現している。

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