Nature ハイライト
Cover Story:北欧の暗号:祖先のつながりが中世初期ヨーロッパのゲノム史を解き明かす
Nature 637, 8044
ヒトの祖先系統は多くの地域で比較的似ており、集団間や集団同士を区別するのが難しいため、遺伝的祖先を用いて歴史を遡り、過去の出来事を探ることは困難である。今週号では、L SpeidelとP Skoglundたちが、祖先の微妙な違いを高解像度で再構築できる新たな手法「Twigstats」を報告している。研究チームはこの手法を用いて、中世初期ヨーロッパのゲノム史を調べた。その結果、スカンジナビア系の祖先を持つ2つの流れがヨーロッパ大陸全域に拡大した様子や、ヴァイキング時代(約750~1050年)以前にスカンジナビア内へ拡大した、別の流れを追跡することが可能になった。表紙は、ヴァイキング時代のルーン石に見られる蛇紋岩の彫刻に着想を得たもので、DNAのヌクレオチド(A、T、G、C〔K〕)のエルダーフサルクのルーン文字が描かれている。
2025年1月2日号の Nature ハイライト
天文学:近傍の高速電波バーストにおける偏波角変化
天文学:シンチレーションで特定された高速電波バーストの発生源
材料工学:CMOSパイロット製造ラインで製造可能なガリウムヒ素レーザーダイオード
ナノテクノロジー:ナノ粒子でピコニュートンからマイクロニュートンの力を検出
ナノテクノロジー:ナノ粒子の発光で機械的な力を探る
気候科学:人工知能を用いた確率論的気象予報
生物地球化学:最終氷期の間の急激なバイオマス燃焼の変化
火山学:イエローストーン・カルデラのメルト貯蔵庫の進展
微生物群集:河川マイクロバイオームのゲノムレベルでのプロファイリング
古生物学:腓骨の縮小が鳥類の歩き方を変えた
神経科学:何でもなかったことが怖くなる仕組み
医学研究:RANK–RANKLは母体の腸を妊娠に適応させる
微生物学:家族外の社会的交流でも腸内微生物相は似てくる
免疫学:中枢神経系が免疫系との対話に使う分子のレパートリー
がん:鉄恒常性の老化による変化は幹細胞性と腫瘍形成に影響を与える
医学研究:月経周期は乳がんの化学療法感受性に影響を及ぼす
細胞生物学:がんの治療に役立つ可能性があるヒストンデアセチラーゼ
がん治療:RAS変異体のGTPアーゼ活性を回復させる新しい抗がん剤
生化学:多様な細胞過程を制御できる合成Gタンパク質共役受容体(GPCR)の設計