Nature ハイライト

Cover Story:皮一重:ワニの頭部の独特な鱗のパターンが形成される仕組み

Nature 637, 8045

ナイルワニ(<i>Crocodylus niloticus</i>)の孵化幼体の上顎。今回、この部分を光シート蛍光顕微鏡法でスキャンすることで、ワニの頭部の特徴的な鱗のパターンの形成過程が明らかになった。
ナイルワニ(Crocodylus niloticus)の孵化幼体の上顎。今回、この部分を光シート蛍光顕微鏡法でスキャンすることで、ワニの頭部の特徴的な鱗のパターンの形成過程が明らかになった。 | 拡大する

G. Timin & M. C. Milinkovitch — University of Geneva, Switzerland

表紙は、若いナイルワニ(Crocodylus niloticus)の頭部の、機械的に自己組織化された鱗のパターンを強調したものである。一般に、鱗、毛、羽毛などの脊椎動物の皮膚付属器は、遺伝子によって制御された構成単位として発生し、その空間的なパターンは胚発生中のシグナル伝達分子が織りなす遺伝子調節ネットワークによって支配されている。しかし、ワニの頭部の鱗のパターンは、機械的過程によって生じるようであることから例外であり、その正確な仕組みや起源は明らかになっていなかった。今週号では、M Milinkovitchたちがこの謎を解き明かしている。彼らは、ナイルワニの胚を用いて頭部のパターン形成の3Dモデルを作製し、鱗の境界が圧縮折りたたみによって機械的に自己組織化した皮膚のひだであることを見いだした。この圧縮応力は、合成の異なる2層の皮膚がその下の組織よりも速く成長することに起因する。

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