Nature ハイライト
Cover Story:堆積の記録:ブラインの蒸発が小惑星ベンヌにナトリウム塩をもたらした
Nature 637, 8048
2023年、NASAのオシリス・レックス(OSIRIS-Rex)ミッションは、小惑星ベンヌから地球へのサンプルリターンという驚異的な偉業を成し遂げた。この取り組みの上でカギとなったのは、サンプルを注意深く密閉して、汚染や劣化を防ぐことであった。今週号では、T McCoyとS Russellたちが、この保存によりもたらされた一連の成果を報告している。研究者たちは、ベンヌの母天体でブラインが蒸発した結果として堆積した塩の鉱物を、ベンヌのサンプル中に特定することに成功した。特に、炭酸ナトリウム水和物の針状結晶(表紙画像では紫色に着色してある)のような、多くのナトリウム塩が見つかった。こうした塩は、もしサンプルが地球大気中の水分にさらされていた場合、容易に損なわれていた可能性が高いものである。
2025年1月30日号の Nature ハイライト
トポロジカル材料:点フェルミ面を伴う半金属ワイル強磁性体
物性物理学:ツイストグラフェンにおけるモアレ駆動トポロジカル電子結晶
物性物理学:モアレ超格子における拡張された量子異常ホール状態
ナノフォトニクス:LiTaO3を用いた超広帯域集積電気光学周波数コム
材料科学:反強誘電体への非極性ナノドメイン導入による性能向上
太陽電池:配位子進化による全無機ペロブスカイトタンデム太陽電池の性能向上
化学:酵素と光触媒を用いた3種類のラジカルの結合によるキラルケトンの合成
環境科学:ノルドストリーム海底パイプラインからのメタン放出
地震学:地球振動による全球3D全マントル減衰モデル
古代ゲノミクス:鉄器時代のブリテン島に存在した母系集団
神経科学:海馬場所野の形成過程を可視化する
神経科学:新しい記憶と古い記憶が混ざらないようにする仕組み
細胞生物学:哺乳類の運動性繊毛の軸糸構造
ウイルス学:新しいクラスのSARS-CoV-2治療薬
免疫疾患:臨床表現型の多様性を引き起こす対立遺伝子性発現
幹細胞:腸の再生と腫瘍形成を相互に調節するLXR
腫瘍免疫学:GDF-15の中和が免疫チェックポイント阻害剤の効果を向上
細胞生物学:植物が細胞内の過剰なナトリウムに対処する仕組み
構造生物学:変化しやすいRNAの立体構造を個別に捉える解析法