Nature ハイライト
Cover Story:空間状況の把握:AIを活用した免疫細胞分布プロファイリングで肝臓がん再発リスクが明らかに
Nature 640, 8060
腫瘍微小環境を構成する細胞と血管の複雑な生態系は、腫瘍の形成、増殖、治療への反応に大きな影響を与える。免疫細胞の分布や位置といった微小環境の特徴を用いることで、疾患転帰を予測できる可能性がある。今回C Sunたちは、こうした情報を利用して肝細胞がんの術後の再発を人工知能(AI)で予測する、画像ベースのスコアリング手法を開発している。著者たちは、肝臓がんの中で最も一般的なタイプで再発率の高い、肝細胞がんに着目した。その結果、ナチュラルキラー細胞と呼ばれる免疫細胞の空間分布とそれらが発現する5つの遺伝子が良好な術後転帰と関連することが見いだされた。これによって研究チームは、微小環境のどこでこれらの遺伝子が発現しているかに基づいて肝がんの再発を予測できる、AIを用いた空間プロファイリングシステム「腫瘍免疫微小環境空間(TIMES)スコア」を生み出すことができた。
2025年4月24日号の Nature ハイライト
プラズマ加速器:RF型加速器に匹敵する性能の小型プラズマ加速器
量子物理学:既存インフラで実現できる量子鍵配送
シリコンフォトニクス:超低損失集積窒化シリコン導波路を用いた超広帯域光増幅
エネルギー科学:鉛フリー強誘電体ペロブスカイトにおける大きな電気熱量効果
材料科学:折り紙から着想を得たメタマテリアル
不均一触媒:セリアの極薄ドメイン形成による触媒活性向上
古気候学:過去800万年にわたり繰り返されたアラビアの湿潤期
地球物理学:イエローストーン・カルデラ下の揮発性物質に富むマグマだまり
生態学:森林の樹種の空間的パターンと種の共存
進化学:真核生物の原型はエクスカバータ生物にあり
がん遺伝学:慢性骨髄性白血病患者のクローン動態
進化遺伝学:ヒトの脳を進化させた遺伝子
植物科学:オーキシンの作用機構についてのこれまでの見方を修正
ウイルス学:高病原性鳥インフルエンザの影響は感染経路により異なる
微生物学:リボソームを標的とする新規投げ縄型ペプチド
医学研究:神経支配をがん治療に利用する道を開く
腫瘍免疫学:アスピリンが転移を抑制する可能性
分子生物学:ゲノムの安定性維持に関わる遺伝子の相互作用マップを作製
生化学:BRCA2はPARP1抑制に直接関わっている