2022年10月号Volume 19 Number 10

腸内細菌はがん治療を強化できるか

患者自身の免疫系を解き放つがん免疫療法。強力な治療法だが、がんは抵抗性を獲得する。この抵抗性の打破に役立つと期待を集めているのが腸内細菌だ。免疫療法が奏効した人や健康な人の腸内マイクロバイオーム、つまり糞便を患者に移植したところ、一部の人では治療の効果が強化されたのだ。現在、がんとマイクロバイオームとの関係に照準を定めた複数の臨床試験で検証が進められている。

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医療分野の研究開発において、アカデミア発のシーズを円滑に実用化へと結び付けていくことは極めて重要である。各シーズを実用化に結びつけるために、研究開発課題の評価を行う人材として、企業に所属する研究者、あるいは所属していた研究者に期待が寄せられている。AMEDは、このような企業所属経験のある評価委員候補者を、特設ウェブサイトAMED-Meetsを通じて募集している。
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Editorial

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現行の研究評価の実施でもたらされたゆがんだ影響に抗うため、これまでに数多くの取り組みがなされてきた。最新の取り組みは、成功しそうに思われる。

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Research Highlights

「海洋の塩分濃度から遠方の平野の豪雨を予測」「オレンジの繊維の中の栄養素が代謝を高める」「夜勤時の医師は鎮痛薬の処方が少ない」「昆虫は『生命の木』から広く遺伝子を盗んでいた」「免疫細胞でがんに先制攻撃」、他。

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News in Focus

東太平洋の海面水温が低くなる「ラニーニャ現象」が2020年から続いている。気象学者たちは、ラニーニャは2022年の冬も終息せずに3年目に突入し、洪水と干ばつのリスクが高まるかもしれないと警告している。

ロンドンでワクチン由来のポリオウイルスが広がっている可能性がある。ポリオの予防接種は今もなお、世界中で必要だ。

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Feature

がん免疫療法に対する抵抗性の打破に、便移植が役立った例がある。がんとマイクロバイオームとの関係に照準を定めた臨床試験は現在、数十件に及ぶ。

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Japanese Author

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しっかりした背骨があるものの、歯がなく鰭(ひれ)もない、わずか5cmの魚。1世紀以上前から数千体の化石が発見されていたパレオスポンディルスは、奇妙な形態故に、どの脊椎動物の仲間か謎のままだった。その頭骨の化石を精密に解析した平沢達矢・東京大学大学院理学系研究科准教授らは、この魚が「魚類から陸上脊椎動物への移行段階」に位置する動物であると突き止めた。

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News & Views

窒素分子を生物が利用可能な形態へと「固定」する酵素は、活性部位に鉄原子と硫黄原子を含む特異なクラスターを持つ。今回、このクラスターを模倣した人工分子で窒素の還元反応が実現され、窒素固定の反応機構に光が当てられた。

卵細胞は、次世代を不都合な変異がなく健康な状態に保つために、有害な影響が及ばないようにする必要がある。今回、卵母細胞が、有害な活性酸素種による損傷を回避する機構が発見された。

血流に乗って移動するヒト腫瘍細胞の分析から、命取りとなり得るがんの転移は、睡眠中に起こりやすいことが分かった。この発見は、がんの治療にどのような影響を与えるだろうか?

授乳時に仔マウスから母マウスへ唾液を介して、感染性胃腸炎ウイルスが伝播することが発見され、これまで認識されていなかったウイルス複製部位と感染手段が明らかになった。

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Advances

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Where I Work

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Željko Zgrablićは、ルジェル・ボスコビッチ研究所(クロアチア・ザグレブ)の野外菌類学者。

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