注目の論文

チームの勝利が次の勝利をもたらす

Nature Human Behaviour

2018年12月4日

For teams, success breeds success

4つのメジャーなスポーツリーグと1つの多人数同時参加型のオンラインゲームにおいて、チームの過去の勝利から将来の勝利のオッズを予測できることを示唆する論文が、今週掲載される。

チーム活動の成功には能力のある個人と良好なチーム力学の組み合わせが必要であることは、以前から認識されていたが、それらの相対的な重要性については議論があった。

Satyam Mukherjeeたちの研究グループは、英国プレミアリーグ(サッカー)、インドプレミアリーグ(クリケット)、米国のMLB(野球)とNBA(バスケットボール)、ならびに多人数同時参加型のオンライン対戦ゲームを対象に、チームにまつわるデータを調べた。具体的には、各チームの選手の能力水準の平均(1試合当たりのゴールやポイントの数、アシストの数や防御率などの統計データに基づく)と、チームの過去の勝利の程度(過去数年間における試合の勝敗数に基づく)の両方が計算された。

その結果、チームの能力が勝利のより重要な予測因子ではあるものの、過去における成功の共有もまた、ある程度の予測因子であることが判明した。この結果は、競い合うチームがその能力水準において互角な場合には、以前の試合で共に戦い勝利した経験が勝敗を決める因子となり得ることを示唆している。

Mukherjeeたちは、今回の研究が過去の成功の回数のみを評価したものであり、チーム関係の質(コミュニケーション、信頼、経験の共有、勝利がもたらす心理的な励みなど)を評価したものではないと認めている。こうした質のうちどれが成功の共有と将来の勝利の関連性を高めるのかを見極めるためには、さらなる研究が必要である。

doi: 10.1038/s41562-018-0460-y

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