注目の論文

【感染症】サハラ砂漠以南のアフリカにおけるHIV感染率のマップ

Nature

2019年5月16日

Infectious diseases: HIV prevalence in sub-Saharan Africa mapped

2000~2017年のサハラ砂漠以南のアフリカ諸国47カ国におけるHIVの推定感染率について報告する論文が、今週掲載される。今回の研究では、この地域でのHIV感染の包括的マップが作製され、国や地域、時期によって感染率にかなり大きな違いのあることが明らかになった。

HIV/AIDSは、サハラ砂漠以南のアフリカにおける疾病負荷の主たる原因であり、治療法の進歩にもかかわらず、この地域で最も一般的な死因であり続けている。HIVの感染率の変動に関する詳しい情報が得られれば、HIV感染の予防と治療への取り組みに役立つ可能性がある。

今回、Simon Hayたちの研究グループは、2000~2017年のサハラ砂漠以南のアフリカ諸国47カ国におけるHIV感染率の包括的な分析結果を示した。この研究では、調査とケアクリニックから得られたデータから、成人(15~49歳)のHIV感染率が推定された。Hayたちは、各国の行政区におけるHIV感染率、および5キロメートル四方の区画ごとのHIV感染率を比較した。その結果、HIV感染率の格差は、国家間にも国内の地域間にも広く存在しており、HIV感染率が全国的に低い国でも局地的に高いHIV感染率を示すことが明らかになった。また、2000~2017年に、47カ国中15カ国で全国レベルのHIV感染率が上昇していたが、このトレンドの方向性には地域差があった。

これらの知見は、サハラ砂漠以南のアフリカでHIV感染を制御するための介入の標的を正確に定める上で役立つ可能性がある。

doi: 10.1038/s41586-019-1200-9

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