注目の論文
悪性肝臓がんの解明に進展
Nature Communications
2011年6月8日
Understanding aggressive liver cancer
肝臓がんにおける悪性腫瘍に関連する分子経路に関する新知見が、今週、Nature Communicationsで発表される。この新知見は、特定のタイプのがんの新たな治療標的候補を見つけ出すうえで役立つかもしれない。
血清バイオマーカーは、肝臓がんのモニタリングにおいて侵襲的な臨床検査に代わる方法として用いられている。なかでも最も広範に利用されているバイオマーカーが、αフェトプロテイン(AFP)で、悪性腫瘍の挙動に関連すると考えられている。しかし、この関連性が偶然のものなのかどうかがわかっていなかった。今回、小島健太郎らは、肝臓に特異的なマイクロRNA(miR122)と転写因子(CUX1)がマウスとヒトの肝臓がん細胞におけるAFPの発現を調節していることを明らかにした。そして、miR122が失われていると、血清AFP濃度が上昇し、悪性度の高い肝臓腫瘍が発生することを実証した。
今回得られた知見によって、AFPと腫瘍の悪性度との関係の背後にある複雑なプロセスが明らかになり、miR122とCUX1が肝臓がんの治療標的となりうる可能性が浮上した。
doi: 10.1038/ncomms1345
注目の論文
-
3月6日
がん:アスピリンがマウスにおける転移を抑制する可能性を示すNature
-
2月28日
考古学:ベスビオ火山の火山灰雲が脳をガラスに変えたScientific Reports
-
2月25日
健康:世界における乳がんによる死亡率と発生率の推定Nature Medicine
-
2月18日
がん:CAR-T療法を受けた患者に長期寛解Nature Medicine
-
2月6日
疫学:オミクロン以前と以後のSARS-CoV-2に対する免疫反応Nature
-
2月4日
加齢:オメガ3は人間の生物学的加齢を遅らせるかもしれないNature Aging