注目の論文
HIV感染乳児の広範囲中和抗体
Nature Medicine
2014年5月26日
Broadly neutralizing antibodies in HIV-infected infants
HIVに感染した乳児は生後一年以内において、さまざまな(変異型)ウイルスに対して応答する広域中和抗体(bNAB)を産生することができる。今週のオンライン版に掲載されるこの研究成果は、bNABの誘導を目的とするワクチン開発努力に有益な情報を提供することになるだろう。
HIV感染者は世界中で3500万人を超えるが、感染予防のために使用が承認されたワクチンは現時点では皆無である。一部のHIV感染者で産生されるbNABの存在は、このような抗体が治療に使用されたり、ワクチンによって誘導されたりする可能性についての期待を高めている。ところが、こういった抗体においては(抗体成熟過程におけるカギとなるステップとして)体細胞高頻度突然変異が過度に起こるべくして起こっており、ワクチンによる抗体の誘導は難しいと判明することも考えられた。
Julie Overbaughたちは、HIV感染乳児由来の抗体産生免疫細胞(B細胞)に成人と同程度のbNAB産生能があることを示した。こういった抗体がどのようにして乳児で迅速に出現するかを知ることは、ワクチン接種によって抗体が誘導される仕組みの解明に役立つと考えられる。
doi: 10.1038/nm.3565
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