Primer
C型肝炎ウイルス感染症
Nature Reviews Disease Primers
2017年3月2日
Hepatitis C virus infection
C型肝炎ウイルス(HCV)は、進行性肝損傷を引き起こす肝親和性RNAウイルスで、肝硬変や肝細胞がんの発症の原因になる。世界で6,400万人から1億300万人が慢性的に感染している。HCV感染症の罹患率が高い国でのこの血中ウイルス感染症の主なリスク因子は、注射薬の安全性を欠いた使用や不衛生な医療処置(医原性感染)である。診断では、血清HCV抗体検査、HCV-RNA定量検査、ウイルスの遺伝子型やサブタイプの同定をはじめ、最近では薬剤耐性関連置換変異の検査が行われている。現在、種々の直接作用型抗ウイルス薬(DAA)が使用可能であり、HCVのライフサイクルの重要な部分に関与する3種のタンパク質(NS3/4Aプロテアーゼ、NS5Aタンパク質、RNA依存性RNAポリメラーゼNS5Bタンパク質)を標的にしている。これらDAAの2剤または3剤併用によってHCV感染症患者の90%以上が治癒する(投与12週後での持続性ウイルス学的著効と定義)。これらの患者の中には、これまで治療が困難であった集団も含まれる。予防ワクチンが開発されるまでは、予防的治療法、効果的なスクリーニングプログラム、および世界的な治療機会の向上によってHCVパンデミックを未然に防ぐ取り組みが必要である。
PrimeView
C型肝炎ウイルス(HCV)は、急性および慢性(C型)肝炎を引き起こし、肝硬変や肝細胞がんの発症につながる。このPrimeViewでは、HCV感染症治療に革新を起こした直接作用型抗ウイルス薬を中心に取りまとめる。
本Primerの図解サマリー
doi: 10.1038/nrdp.2017.6