化石:鳥類の進化を見直すきっかけになるかもしれない白亜紀の鳥の化石
Nature
2022年12月1日
Fossils: Cretaceous bird may lead to evolutionary rethink
白亜紀の歯の生えた鳥の化石に現生鳥類(ニワトリ、アヒルなど)と同じ特徴が見られたという意外な発見を報告するDaniel Fieldたちの論文が、Natureに掲載される。この発見は、鳥類の起源に関する長年の仮説に異議を唱えるものであり、鳥類の進化と分類について再考を促すものとなる可能性がある。
現生鳥類は、2つの基本的な分類群(古顎類と新顎類)のいずれかに属している。古顎類(ヒクイドリ、ダチョウ、シギダチョウ科など)は、頭蓋の骨格が厳密な接合によって互いに連結されており、口蓋に柔軟な関節がない。新顎類(ニワトリやアヒルをはじめとした全ての現生鳥類種を含む)は、頭蓋の骨格がかなり緩い接合によって連結されており、口蓋に関節がある。鳥類の祖先(例えば獣脚類恐竜)は、融合した口蓋を持っていたため、これまでは古顎類の頭蓋骨を持つ鳥類から新顎類が進化したと考えられていた。ただし、口蓋部分は壊れやすく、化石記録において良好な状態で保存されることがほとんどなかったため、この仮説を検証することは困難だった。Fieldたちの論文では、6700万年前の鳥類種(Janavis finalidens)の部分的な骨格が記述され、その口蓋が陸鳥や水鳥の現生種とほとんど区別できないという観察結果が示されている。このことは、新顎類の頭蓋骨を持つ鳥類が最初に進化し、そこから古顎類が派生したことを示唆している。
J. finalidensは、象徴的な歯の生えた海鳥イクチオルニスの最も近縁な鳥類種であることが知られているが、その体重は、これまでで最大のイクチオルニスの化石標本の2倍以上であった可能性がある。また、今回の研究は、魚鳥上目が、白亜紀の末期まで生き残り、最終的には白亜紀末の鳥類様恐竜の大量絶滅の際に死に絶えたことを示している。
doi: 10.1038/s41586-022-05445-y
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